質問
・官民連携事業について、経緯と展望
・PPP(官民連携)について
・公共用地再配置計画について
要約
- 民間との連携の重要性とその成果を議論した。
- 森市長はデジタルトランスフォーメーション分野での企業との連携を進めている。
- クラウドファンディングやLGBTQの講習など多様な社会課題にも取り組んでいる。
- メタウォーターなどの企業と包括連携協定を結び、水道事業の課題解決に取り組んでいる。
- 大塚製薬と連携して熱中症対策を実施している。
- トレンドマイクロと連携し、市民のサイバーセキュリティ知識向上に貢献している。
- PPP事業を通じて水道事業や駅周辺の賑わい創出を進めている。
- 新富公園の整備についてもPPP手法を検討中である。
- 公共施設等総合管理計画を改定し、2055年までに公共用地を22%削減する目標を立てている。
- 人口減少問題に対応するため、移住定住対策や子育て支援、企業誘致などに取り組んでいる。
- 官民連携の重要性と、そのための具体的な手法や事例を強調した。
- 民間との連携によって、地域の新陳代謝と機能向上を目指す考えを示した。
- 不動産投資の進展と地方の地価上昇に触れ、地方での稼ぐ可能性を強調した。
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本分
青柳篤始
議長のお許しを得ましたので、一般質問をさせていただきたいと思います。非常に眠たい時間になってまいりました。目の覚めるような一般質問を心がけるつもりではございますが、緊張のあまり机の上に老眼鏡を忘れてきて、原稿がまともに読めるかどうか、そういうところは若干心配はございますが、緊張感を持ってさせていただきたいと思います。一問一答方式にて一般質問を行います。
今回の一般質問では、民間との連携の可能性をさらに広げるためには、ここにスポットを当てて一般質問を行います。社会課題の解決に向けた取組の中で、特に民間企業との連携によって様々な課題が解決されています。
民間企業は課題を解決することで成長を目指しており、この取組が続かなければ会社は安定した経営が難しくなります。行政には様々な事業がありますが、中でも民間連携による課題解決の成功事例が数多く見られます。
このあわら市でも、森市長就任以降、民間企業との連携が顕著です。森市長はデジタルトランスフォーメーションの分野でウイルスセキュリティ会社やシステム開発会社と協力し、ゼロカーボンや二次交通の課題解決に向けて複数の企業と地域包括協定を結んでいます。
また、専門知識の習得のために、クラウドファンディングの会社や大手ポイントシステムの会社と協力し、LGBTQの講習を含む多様な社会課題にも取り組んでいます。連携協定に至らない場合でも、多くの民間企業の知恵やノウハウを活用して課題解決に取り組んでいると理解しています。
これまでの取組の中で特に成功した具体的な事例について教えていただけますか。また、これらの取組の中で直面した主な課題や、それをどのように克服したのかについてもお聞かせください。さらに、今後の具体的な計画や目標についても詳しくお聞かせくださいますようお願いします。
創造戦略部長 渡邉清宏
民間企業との連携について、これまでの取組と成功例、課題はとのご質問にお答えいたします。市ではこれまで、多くの民間企業と協力し、問題解決に取り組んでまいりました。
代表的なもので言いますと、今年4月に包括連携協定を締結しましたメタウォーター、NJS・E&M共同企業体と、水道に係る施設更新の技術職員不足という課題解決のため、上下水道課の業務の一部(料金徴収、窓口業務、施設維持管理等)につきまして、10月から包括的民間委託を行う予定となっております。
そのほか、昨年7月には、同じく包括連携協定を締結しております大塚製薬株式会社とあわら市商工会と協力しまして、熱中症を減らすための対策としまして、市内小売店や事業所、公共施設などに熱中症対策一時休憩所を設置する取組を行っております。
そのほかにも、ゼロカーボン推進に向けたEVカーシェア事業で連携しておりますENEOS株式会社や、デジタルデバイド対策として職員や市民のサイバーセキュリティに関する知識向上に連携して取り組んでいるトレンドマイクロ株式会社と、大きなものとしては、八つの課、16の分野で22件の民間企業と連携しました課題解決に取り組んでおります。
成功した事例の一つとしましては、令和4年度に開始しましたスマホ・タブレットよろず相談所で活躍しますシニアスマホアンバサダー、市民相談員に対しましてトレンドマイクロ株式会社が行ったセキュリティ講習会がございます。
スマホ・タブレットよろず相談所では、これまで500名以上の市民にご利用いただいておりますが、この講習会を通じまして、不正なウェブサイトやフィッシングメールなどのサイバーセキュリティの知識を学んだことで、これまで以上に相談所を利用される初心者の市民の方に対しまして、不安なく、安心感を持ってスマホを使ってもらえるよう後押しができました。
一方で課題としましては、市の抱えている課題の解決に携わることにより、企業としてのイメージアップは図られますが、利益には直結しないケースも多く、今後も継続的に続けていけるかが課題となっていると感じております。
民間企業との連携につきましては、引き続き持続可能な形での解決を模索するとともに、民間企業のノウハウや技術を取り入れた課題解決に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
青柳篤始
課題を解決する、または目指す、言うのは簡単ですが、解決に向けては様々なステップがあると思います。様々な角度から、課題を見ることができるのも、連携協定で生まれる一つの魅力だと思っています。
ただし、行政が提供してきた公共のインフラやサービスに民間企業のノウハウや技術、創意工夫を取り入れることは、あくまでも手段であり、最終目標は住民生活の向上と安定です。
私も民間出身のため、課題解決は民間のほうが得意であると感じています。なぜなら、先ほども申しましたが、課題を解決できなければ民間企業の存続はあり得ないからです。
民間連携事業、通称PPPは、目的達成のために重要な手段です。ぜひ未来を切り開くために、あらゆる手段を排除せずに取り組んでいただきたいと思います。
そのPPP事業について少し伺いたいと思います。あわら市においても、先ほどの回答の中にもありましたが、水道事業の安定的継続とさらなる効率化を目指してPPP事業に取り組んでいます。また、aキューブの活用方法や、さらなるにぎわいを生み出すためのサウンディング調査なども進められています。
さらに、新富公園の整備に向けてPark-PFIの導入を検討されるべきではないかと考えていますが、現在の取組や、他の市町の状況を視察された内容についてもお答えいただけますでしょうか。
副市長 前川嘉宏
先ほどのこれまでの経緯の中でもお答えしておりますが、まず上下水道事業では、令和6年度10月からPPPの一つである包括委託業務を開始いたします。これにより民間企業が持つ専門的知見も活用でき、さらに、直営よりもコスト縮減が図れる予定でございます。
議員おっしゃいました金津本陣にぎわい広場のaキューブでございますが、JR芦原温泉駅周辺のさらなるにぎわい創出を目的に、民間による活用を現在検討しております。
昨年11月にはPPP/PFI推進に向け、福井銀行が事務局を務めるふくい地域プラットフォームを開催し、利活用につきまして官民対話型ワークショップを行っております。その際、民間事業者から広く提案を求める民間提案制度を活用してはどうかとの意見をいただきました。
検討の結果、市の財政コストの削減や市民サービスの向上、地域の活性化等につながるユニークな提案を求めることといたしまして、令和6年4月から6月末まで募集を行っており、現在、複数の事業者から問合せがあるところでございます。
駅前の児童公園(新富公園)では、竹田川周遊エリア整備事業によりまして、地域住民から来訪者まで誰もが日常的に集い、周遊したくなる魅力的な拠点として整備を進めております。
現在までの取組として、昨年度、この公園の管理をお願いしている地元新富区の住民の方々と3回の意見交換を行いました。その中で、管理しやすい公園にしてほしい、暗くて防犯上、危険である、トイレが欲しいなどの意見をいただいております。
なお、これに関して他市町を視察した内容ですが、昨年度、官民連携の手法で公園を整備した加賀市の山代スマートパークを職員が視察した際、加賀市の職員から、幹線道路沿いなどアクセスがよく集客力の高い公園は民間事業者が参画できる可能性が高いことや、事業者が事業収益の一部を市に還元できるだけの収益を上げられるかが課題であるとの意見をいただいております。
本公園の再整備に当たりまして、公園の質の向上やにぎわいの創出、管理コストの縮減を図るため、地元と協議しながら、官民連携による手法を取り入れるなどして事業を進めてまいりたいと考えております。
青柳篤始
PPPやPark-PFI事業、そのほかにも様々な形式があります。民間との連携事業の事例についても、私も数多くの調査や視察を行っています。特に民間側からのアプローチということに焦点を置いていろんなものを見ていて、その中でも、あわら市の行政職員の助けになれたらなということをなるべく研究対象として学んでいるつもりであります。
当然、官民連携事業にはメリットがある一方でデメリットもあるのは、恐らくどんな事業でも同じだと思います。しかし、計画段階から参加できる新規事業などは、民間企業や投資家も大いに興味を持っているのは事実です。なぜなら、民間は利潤追求と社会貢献の両方を実現することで、存在価値をさらに増すことができるからです。
また、行政と連携した事業を行うことで、民間の事業も信用性や信頼性が向上し、資金調達に大きなメリットが生まれます。それに、行政ではこれまで不可能だったことに手が届くようになり、全ての可能性を盛り込めなかった計画に民間の経営計画という情報が付加されることで、目的達成の要素に深みが増し、コスト削減につながり、にぎわいを創出できるチャンスも増すと思います。
しかし、さきにも説明しましたが、メリットが多い一方、デメリットもあることを忘れてはいけません。また、計画を進める上で内容が変更になることはあろうかと思います。これは当然のことだと思います。目的の達成のために議論を深め、計画が変更になるのは当たり前です。ぜひ失敗を恐れずにチャレンジをしてほしいと思います。今日よりあしたがよくなること、その積み重ねでイノベーションが生まれます。
さて、PPPと同じテーブルで議論されるべきことがたくさんありますが、中でも重要なのは公共用地あるいは公共施設の見直しです。そこで、公共施設等総合管理計画について伺いたいと思います。
特に注目される社会課題の一つは、人口減少問題です。このあわら市でも2030年には人口が2万3,000人と予想され、また、2万人を切るというような過激な予想もあります。あと6年です。この人口減少問題で最も懸念されるのは、財政コストを維持できないところです。
たとえ法人からの税収比率が47%と人口減少の影響を受けにくい構造であったとしても、維持管理コストの割合が増え続ければ財政的に追い込まれるのは明白です。そこで、あわら市でも公共施設等総合管理計画を改定し、2055年までに公共用地を22%削減する計画が発表されています。
この計画の進捗と達成に向けた展望についてお聞かせください。また、2055年の人口は2万3,000人と予想されていますが、少し楽観的な気がします。併せてご説明をお願いいたします。
総務部長 江守耕一
公共施設等総合管理計画について、計画の進捗と目標達成に向けて展望はどうかとのご質問にお答えいたします。あわら市においては、令和元年度に策定したあわら市公共施設再配置計画に基づき、令和4年度末までに金津B&G海洋センタープールや市営住宅の一部などの解体を進め、延べ床面積約1,650㎡の縮減を図ってまいりました。
しかしながら、北陸新幹線芦原温泉駅開業を控え、芦原温泉駅西口賑わい施設アフレアや道の駅蓮如の里あわらなどを新たに整備したことや、昨今の物価高騰を踏まえ、本年3月にあわら市公共施設等総合管理計画を改定したものでございます。
主な改定内容としては、公共施設の総延べ床面積14万4,661㎡を2055年度までに22%、面積では約3万1,800㎡縮減することを新たな目標としております。この目標に基づき、維持、解体、譲渡などの公共施設の方向性を示したあわら市公共施設再配置計画の改定の準備を令和8年度に向けて進めており、本年度は市民アンケートや各課からのヒアリングを行い、公共施設の方向性などの現状や課題を整理いたします。
縮減目標の達成に向けては、大胆な見直しを進めていく一方で、より丁寧な利用者への説明や地域との協議が必要です。人口減少、少子高齢化の進行、急速な通信技術の発達などにより社会情勢や人々の価値観などが大きく変わる中で、公共施設等に対する市民ニーズを見極め、慎重かつ大胆に判断していきたいと考えております。
なお、人口減少に関しましては、厚生労働省では今月5日に2023年の人口動態統計を発表しております。全国の女性1人が生涯に産む子どもの推定人数、合計特殊出生率は1.20で過去最低を記録、また、福井県の合計特殊出生率は1.46で過去2番目の低さであったことなどを踏まえると、あわら市の2030年の目標人口2万5,846人に関しては、非常に厳しい状況にあると認識しております。
人口減少問題は市の最重要課題です。今後とも移住定住対策、子育て支援、企業誘致、にぎわいあふれるまちづくりなど、ソフト、ハード面からの各種施策に重層的に取り組んでまいります。
青柳篤始
ちょっと老眼で原稿を読み違えましたが、2030年2万5,000人ということで、達成できないということの話がありましたけれども、この目標に関しては正直な話、達成したからどうこうなるような数字だとは思っていません。これに対して我々議員が「できないのは何で?」と追及するのではなくて、一緒に成し遂げなければいけない数値だというふうに思っています。
もちろん、厳しい意見や議論が起きるかもしれませんが、立場を超えて様々なロードマップを出し合いながら、課題解決に向けて進む必要があるというふうに思っています。
今、官民連携事業のことを質問しているんですが、実はこの官民連携事業が、このあわら市が安定して暮らしやすいまちになっていく一つのツールだというふうに思っています。
皆さんに質問をします。今までここにあった施設が古くなったり、役目を終えたりして取り壊されるとき、少し寂しい気持ちになるとは思いませんか。私は寂しい思いがします。しかし、どうでしょう。ここに新しい役割を持つ施設や企業が進出すると知ったら、期待に胸を膨らませるのではないでしょうか。
そして、そこにあったよいものを残し、時代に合った新しい要素を取り入れ、未来を感じるような10年、20年を歩めるような施設や機能を継続させるべきです。ランニングコストに比べて、イニシャルコストを使い新しいものを創造できるのならば、それはこれからの未来をつくることになっていきます。そして、行政が積極的に取り組むことによって新陳代謝をよくして、このまちの機能をさらに向上させることが重要です。
このことこそがまさにスクラップ・アンド・ビルドの考え方です。行政の重要な役割として、民間企業を育てることが含まれています。物をなくすのではなく、新陳代謝を促すことによって想定外の発展を共に考え実行していきましょう。そのために、民間との連携、PPPは重要なキーツールになると思っています。そこを意識することによって情報開示が進み、さらに活発な議論が進むことを願っています。
昨年から不動産投資が加速度的に進んでいます。ニセコから白馬に東北のDID、この福井県でも地価の上昇が進んでいます。福井県は新幹線開業という偶発的な要素があるのは事実ですが、地方が買われていることは紛れもない事実です。その条件が、一次交通がある場所になります。このあわら市にも条件はそろっています。稼ぐなら地方で、このワードを私はビッグワードにしたい。
そのために、ここにしかないものを発信し続ける必要性があります。注目すべき場所、施設がたくさんあります。小手先のにぎわいではなく、住民が安心して、安定して暮らし続ける、そういった真の活性化を遂げるストーリーを描き、財産を有効活用しながら歩み続けてほしいと思っています。
人口減少だけが消滅自治体に選ばれる原因ではありません。このまちには多くの強みや財産があります。共に考え行動することを強く訴えて、私の一般質問とさせていただきます。