全文(議会録より)
質問者 青柳篤始
GIGAスクールの運用状況についてお尋ねします。
ICTを基盤とした先端技術を活用して、子どもの力を最大限に引き出す学び、これは2019年12月に文部科学省から発表されたプロジェクトであります。
あわら市においても小中学校で1人1台の端末が配付されています。その状況については、7月の管内視察で中学校の学習アプリを我々も体験させていただきました。
さて、その学習アプリですが、9月から恐らく本格運用が始まっていると思います。その運用状況と今後の方針について、小学校、中学校を併せてお聞かせください。
教育長 甲斐和浩
ただいまのご質問にお答えいたします。
文部科学省は、多様な子どもたちを誰一人取り残すことなく、一人一人が持つ資質や能力を一層確実に育成する教育ICT環境を実現するため、令和元年度にGIGAスクール構想を提唱しました。
本市における運用状況についてですが、本年7月に学習支援アプリを導入し、各教科において積極的に使うことでタブレット端末の活用が広がりました。
具体的には、教員がこのアプリを使って児童・生徒のタブレット端末に課題を一斉に送信し、それを受け取った児童・生徒は課題を解いて教員に返信します。途中、教員は児童・生徒の取組状況を手元のタブレット端末で確認したり、教室の大型モニターに回答を映し出したりして共有しながら、解説を行ったりしております。
また、グループ活動の場面では、児童・生徒がタブレット端末に意見を書き込み、グループ内でお互いの意見を共有しながら話し合い、その結果を大型モニターに映し出して発表しております。
このような活用により、児童・生徒の事業への関わりが増すなど、学習効果が一層向上していると考えられます。
次に、今後の方針についてですが、来年度、市内全域で高速無線通信網Wi-Fi6が運用開始されますことから、タブレット端末を持ち帰っての家庭学習の充実を図っていきたいと考えております。このため、ドリル教材アプリの導入を現在検討しているところでございます。
ドリル教材アプリは、児童・生徒一人一人の理解度に合わせた課題が出題されるアプリです。また、ドリルの取組状況がデータ化され、教員が分析や解析を行うことも可能となります。
Wi-Fi6運用開始に合わせ、校内だけでなく家庭での活用を進めることで、タブレット端末の活用幅のさらなる拡大を図っていきたいと考えております。
質問者 青柳篤始
今のお答えに対して、幾つか掘り下げて質問させていただきたいと思います。
まず、先生の運用状況について伺います。グループ活動に使用されているということで、グループ活動を通じて恐らくデータがより多く集まってくるのだろうと思います。そのデータ解析や分析ができることは、私は非常に大きいというふうに思います。
来年度から、実は大学の教育課程の中に統計データの分析や解析が組み込まれると聞いています。タブレットを利用することによって、正解率はもとより、様々なデータが統計となって表れてきます。
中でも注目しているのは、子どもたち同士の結びつきという点で、それを分析、解析できるのは非常に大きいと私は感じています。その分、先生方の負担も増えるのではないかなと、そのように感じておりますが、先生方の運用状況はどのようにお考えですか。
教育長 甲斐和浩
ただいまのご質問の先生方の運用状況についてですけれども、さきにも申し上げましたように、学習支援アプリを使うことによって、教員は手元のタブレット端末で児童・生徒のグループ活動の様子、課題を解いている様子を確認しながら、児童・生徒の結びつきや一人一人の進捗状況に応じたアドバイスを行うことができます。
また、ドリル教材アプリの導入によりまして、教員は児童・生徒のドリルの取組状況や学習傾向、弱点などを分析、解析し、学年や教科を超えて、一人一人の理解に沿った課題を出題することが可能になります。
しかしながら、タブレット端末を使うことに苦手意識がある教員がいることも事実です。同様に、児童・生徒の中にもタブレット端末の操作が得意な子もいれば苦手な子もいます。また、学校間でもタブレット端末の利用状況に差が見られます。
現在、これらのタブレット端末の使い方や活用状況については、情報教育担当の教員で構成します情報教育担当者会で共有して対応しておりますが、今後はより充実を図るため、来年度はICT教育指導員を教育委員会に配置し、学校を巡回して授業内容を指導していくことを検討しております。
質問者 青柳篤始
ICT教育指導員を設置するということで、ぜひそれを設置していただいて、教員の悩みを解決することによってさらなる高みを目指していただきたいなと思いますが、せっかくICTを使うのであれば、例えば福大などとリモートで連携するとか、福大に限った話ではないですが、ICTの活用って実際そういうことが指されますので、リモートで物事を行うと、きめ細やかなことができるということも頭に入れて、今後の発展に努めていただきたいなと思います。
また、ドリルアプリを入れるという話がございました。皆さんご存じのとおり、タブレット端末は本体だけあっても当然何の機能もしません。アプリケーションが入って初めてその機能を発揮するものだと思います。
そして、先ほどの話にも出てきましたが、難しい言い方をするならば個別最適化、私はあんまりこの言い方は好きではありませんが、できる子は前に進んだり、逆に分からないところは低学年に戻ったりするというところでは非常に優れているなと思いますし、また、ゲーム感覚でできるということは、さらに学習が効率化されるんじゃないかなというふうに思っています。
しかし、その反面、デメリットもあることは事実だと思います。例えば、電磁波の悪影響やブルーライト問題というのはよく話題になっています。電磁波、それから電波の影響は、はっきりと分かっていませんが、子どもたちがこの先、生きていく上で、避けては通れない道です。そして、ブルーライト問題というのは、既にナイトモードやダークモードといったテクノロジーの力で解決の方向に向かっています。
ただ、懸念されるのは、自宅で学習をする、その自宅に持ち帰ることでのトラブルという部分が非常に懸念されると思いますが、ゲームやSNS等による悪影響などの対策は何かお考えでしょうか。
教育長 甲斐和浩
タブレット端末の活用というのは非常に有効でありますが、負の部分も考えられるということは承知をしております。特に、今後持ち帰りをするということになりますと、いろんなトラブルが考えられるというふうにも考えております。
現在は、情報教育担当者がタブレット使用のルール、あるいは持ち帰りのルールの作成をしております。今後はこれを基に、学校では児童・生徒に対して情報モラル教育を行っていきます。
また、教育委員会では、タブレット端末を持ち帰った際に、児童・生徒が有害なウェブサイトへのアクセスやSNSの誤った利用などを防ぐため、一定の制限をかけるフィルタリングアプリの導入を検討しております。
このような取組を行うことによりまして、タブレット端末の安全で効果的な運用を進めていきます。
ただ、児童・生徒がタブレット端末を持ち帰り適正に使用するためには、やはりご家庭との連携が必要であると考えております。このため、学校ではPTA総会や保護者会などの機会を通じてご協力を求めていく、あるいは家庭訪問の際に利用状況を確認するなど、取組を行っていきたいと考えております。
質問者 青柳篤始
いつでもITリテラシーの問題というのは付きまとっているものだと思います。子どもたちへの教育だけではなくて、保護者にもそれが求められているんだと、保護者会を通じて説明するというお話もありましたが、ぜひ、子どもさんと一緒に保護者もリポートで学校の先生と対話する、そういったことも試してみたらどうかなというふうに思います。
なぜそういうことが必要かというと、保護者の協力に勝る対策はない、トラブルを収めるのには、まさにそれ以外の対策はないなというふうに思っていますので、ぜひとも協力を呼びかけてやっていただきたいなと思います。
そして、私が皆さんにお願いしたいのは、今始まった令和の新しい教育システムの発展に協力していただきたいということです。新しい教育のベースを今つくっている、そういう心構えを持って、皆さんにはぜひ見守っていただきたいなと思います。
教育長、学校のコロナ対策で教育関係機関から非常に高い評価を得ているあわら市教育委員会。教育長にお話しさせていただいたときに、マニュアルどおりにやっているだけだと、そういうふうなお言葉がありましたが、引き続き子どもたちの教育環境をよろしくお願いしたいと思います。 改めて伺います。今後の教育について、教育長の力強いお言葉をいただけますでしょうか。
教育長 甲斐和浩
ただいまは青柳委員さんから温かいエールをいただきまして、ありがとうございます。
学習指導要領は、約10年に一度改訂されておりますけれども、これは子どもたちが10年後あるいは20年後、社会で活躍するために必要なものというものを盛り込んでおります。
今回の学習指導要領では、予測不可能な社会を生き抜くための力をつけるということが大きなテーマになっております。予測不可能といいますと、今回のコロナも予測不可能なものの一つにはなっていますけれども、10年後、20年後、未来がどうなっているか。AIがますます進化し、グローバル社会が大きく拡大し、あるいはバーチャル空間が拡大していく、そういった世の中に送り出すための子どもたちを育てていくというのが学校教育の責任であります。
学校ではコロナ対策に毎日従事しながら、しかし、未来の子どもたちを育てるためにということで、タブレット端末、慣れないながらも一生懸命頑張っております。
先ほども申し上げましたように、学校だけでは子どもたちの未来を支えることはできません。ぜひ家庭、そして地域社会のご協力をよろしくお願いしたいと思います。
質問者 青柳篤始
ありがとうございます。
最後に、DX推進の中で整備されたWi-Fi6、ひとしく教育を受ける権利という部分で、このあわら市の教育にはアドバンテージがあると思います。
私はDXからLX、ラーニングエクスペリエンスと言いますけれども、人は生涯学び続ける、そして詰め込みの学習から人と対話してつくり上げていく学習へということが私は明日へのキーワードだなと思い、この一般質問をさせていただきました。
最後に、市長、この町の教育について、力強いお言葉をいただけますか。
市長 佐々木康男
私はあまり高尚なことは言えませんけれども、日頃考えていることを何点か言いますと、一つには、子どもたちの個性とか能力をしっかりと引き出すと、個々人は違うので、それをしっかり引き出してあげるということが大事かなと思っています。
そうした中で、全般的に言えることは、一つはやっぱりふるさと愛を醸成してほしいということを教育委員会にお願いしています。ふるさと教育というのは本当に大事だと思っています。それをまずすることによって、子どもたち、このあわらを担っていくような人をしっかり育ててほしいというのが一つあります。
それから、視野を広げる点においては、あわらは中国とかアメリカへ派遣していますけど、コロナで今は行っていませんけど、そういう外を見るということは非常に大事だと思っていまして、視野を広げる機会をこれからはちゃんと維持していきたいと思っています。やっぱり自分が井の中の蛙になってほしくないということです。それが大事だというのを考えています。
それから、そういう意味においては、英語については小学生、だんだん低学年化していますけど、これからは本当に英語ができる、語学力を身につける人間を育てることが大事だと思っています。10年後、20年後、外国とばんばんやるには、僕は語学力が中途半端にしか身についていないので駄目なんですけど、本当にしゃべれる人間が一人でも多くなるように、語学教育ということはちゃんと、福井県になると、あわらの子どもたちはみんなペラペラしゃべるわとなるぐらいの勢いでやる必要があると考えています。
それと今言っているように、これからのDXの社会の中で、やっぱりICTとかITとか、そういうことができる頭脳というんですか、そういうこともしっかりやっていかないと駄目かなと。
あわら市の子どもたちにアドバンテージが与えられると言っていますけど、それも使いようによって武器になるかどうか分からないので、しっかり学校現場と私どもも意見をしながらやっていきたいと。
最後に大事なのは、教育環境をそれに合わせて整備していくということが大事なんですね。年数がたったところで、修繕していくところは徐々にやっていきますけど、直近で聞いているのは、タブレットとかを置いちゃうと今の机は小さいと。そうすると、小学校や中学生の子どもたちの机を更新する時期に来ているのかなと思っています。そういうこともしてあげないと、本当に猫の額のようなところでやっているという状態があると聞いていますので、現場でも僕はそういうふうに思っていますので、そういうようなことですね。今、トイレの洋式化とかいろいろやっていますけど、そういうようなことも改めて見てあげないと、機器はあっても活用できないんじゃないかということも考えていますし、あと、先ほど教育長も言っていましたけど、俗に言う地域コミュニティスクールというか、学校と家庭と地域というものがしっかり連携して子どもを育てる、そういう風土があわら市にしっかりないと、学校だけで学校の先生任せは駄目だと思うし、地域が子どもたちと交流することによって、また地域の大人たちも得るものがありますから、そういう意味においても、地域コミュニティスクールみたいなのはしっかりあわらとしては伸ばしていく必要があるんじゃないかなと考えています。
いずれにしましても、教育委員会とは頻繁にやり取りしていますし、僕も年に2回、3回と学校現場を見に行っていますので、現場の意見を吸い上げながら、市長部局でできることはしっかり支援していきたいと思っています。
質問者 青柳篤始
りがとうございます。
いま一度皆さんにお願いがあります。保護者の方、地域の皆さん、市長、教育長、教育委員会、教師、教育関係者の皆さん、行政、議員、あわら市全てのお住まいの皆さんにお願いしたいと思います。未来をつくる子どもたちにすばらしい明日を与えてあげてください。ぜひともよろしくお願いいたします。
ありがとうございました。これで私の一般質問を終わらせていただきます。