【一般質問全文公開】市民の困りごとを起点とした行政改革について

「市民の困りごとを起点とした行政改革」について一般質問を行いました。

市役所での手続きや窓口の負担をどう減らし、市民と向き合う時間をどう増やしていくのか。

今回の質問に至った背景や市の答弁の概要、そして一般質問と答弁の全文をご紹介します。

目次

なぜこの質問をしたのか

この質問のきっかけは、日頃、皆さまからいただく相談です。「○○課について聞きたい」と言われることはほとんどなく、多くのご相談は「こんなことで困っている」「どこに相談すればいいのか分からない」から始まります。私も、まず困っている内容をお聞きし、そのうえで担当する部署につないでいます。

また、市役所の中でも、不便さやわかりにくさが残っています。例えば、出生や転入、介護、ご家族が亡くなられた時など。一つの出来事なのに、いくつもの窓口を回り、同じことを何度も書いたり、説明したりすることがあります。

市民の皆さまにとって大切なのは、どの課が担当しているかではなく、困りごとが解決することです。こうした不便を減らし、「何か所も窓口を回らなくてよい」「同じことを何度も書かなくてよい」「どこに相談すればいいのか分かりやすい」市役所にできないか。今回の質問では、そこを大きなテーマにしました。

このような市役所や行政の仕組みを実現するためには、今の仕事の流れそのものを見直し、AIやデータなども活用しながら、不要な引き継ぎや重複する作業を減らしていく必要があります。

行政の目的は、手続きを行うことではなく、市民の困りごとを解決することです。 短くできる作業は短くし、その分、市民の話を聞く、現場を見る、考える、判断するといった、人にしかできない仕事に、より多くの時間を使える市役所を目指していくことが大切だと考えています。

今後も、行政の役割や本質を見据えながら、より良い市民サービスがすべての皆さまに提供されるよう尽力してまいります。

質問

  • 市民の困りごとを起点とした行政サービスの考え方と、市政運営・組織づくりについて
  • ライフイベントを起点とした行政サービスと市民負担の軽減について
  • 行政内部の情報連携と業務の流れの現状および課題について
  • 業務全体の流れを見直す業務改革(BPR)の考え方と取組について
  • AIを活用できる人材育成と、データや根拠に基づく政策立案(EBPM)の推進について

概要

今回の一般質問では、市民の困りごとを起点に、市役所の仕事の進め方そのものを見直す必要性について質問しました。

出生や転入、介護などの手続きで、複数の窓口を回ったり、同じ内容を何度も記入したりする負担を減らせないか。市からは、市民と職員の双方に負担があり、改善の余地があるとの認識が示されました。

また、部署間の情報連携や業務改革(BPR)、AIを活用できる職員の育成、データに基づく政策立案(EBPM)についても質問しました。

市からは、業務全体の見直しやAI人材の育成を進める考えが示された一方、データの整備や政策の評価方法には課題があるとの答弁もありました。

行政改革の目的は、単なる効率化ではなく、市民と向き合う時間を増やすことです。

今後も、こうした取組が実際の市民サービスの改善につながっていくのか、確認していきたいと考えています。

全文

青柳篤始

皆さん、おはようございます。通告順に従い9番青柳篤始の質問を一問一答方式にて行います。まず最初にこの度、災害により被災された方に心よりお見舞いを申しあげます。一日も早い復旧復興を心よりお祈り申し上げます。  また、私自身もボランティア活動等を通じてできる限り被災された方々を支えていきたいというふうに考えています。それでは質問に入ります。今回取り上げるテーマは、市民の困りごとを起点による行政サービス改革についてです。

人口減少や少子高齢化が進み、今後は行政職員の確保もますます厳しくなることが予想されます。一方で、市民の困りごとは複雑化・多様化し、行政に求められる役割はこれまで以上に大きくなっています。こうした時代だからこそ、私は単に人を増やすのでも、単にデジタル化を進めるのでもなく、行政の業務の進め方そのものを見直す必要があると考えています。

私はこれまで、被災者支援や行政DXについて調査・研究を進める中で、多くの行政手続きを分析してきました。その中で見えてきたのは、市民が何度も同じ情報を記入し、行政でも何度も同じ情報を確認し、入力しているという現実です。これは被災時だけの課題ではありません。出生や転入、介護、そして家族が亡くなられたときなど、日常の行政サービスにも共通する課題ではないかと感じています。

そして、行政手続きを調査する中で、改めて強く感じたことがあります。

行政の目的は、手続きを行うことではありません。

その先にある、市民一人ひとりの困りごとを解決することです。

私は、中学生議会の出前講座で行政の仕事について話す機会があります。その中で、生徒たちにはいつも最後に、次のように伝えています。

行政の仕事は、道路を造ることでも、施設を維持管理することでも、書類を処理することでもありません。最後は、人と向き合い、人の困りごとを解決し、その積み重ねによって、まちをより豊かにしていく仕事です。

私は、この言葉こそ行政の本質だと考えています。だからこそ、行政改革の目的は、単に業務を減らすことではありません。市民と向き合う時間を増やすことです。

そのためには、行政内部の業務を見直し、デジタルを活用しながら、本当に人が担うべき仕事へ時間を振り向けていくことが重要だと考えています。

では市民の困りごとという視点から、これからの市役所の役割、業務の進め方、そしてAIやデジタル技術の活用について順を追って質問させていただきます。

まず、これからの市役所の役割についてお伺いいたします。人口減少や少子高齢化が進む中、行政サービスの在り方も変化が求められています。

行政は、これからの市役所の役割をどのように捉えているのか。また、市民一人ひとりの困りごとを起点とした行政サービスという考え方についてどのように認識し、それを市政運営や組織づくりにどのように反映していく考えなのか、お伺いします。

総務部長 渡邉清宏

行政はこれからの市役所の役割をどのようにとらえ、市民一人ひとりの困りごとを起点とした行政サービスという考え方についてどのように認識し、市政運営や組織づくりにどのように反映していく考えなのかについてお答えさせていただきます。

人口減少や少子高齢化の進行をはじめ、地域社会を取り巻く状況が大きく変化する中、これからの市役所は、こうした変化に柔軟に対応していくことが強く求められています。

そのような中で、単に制度に基づく事務を処理するのではなく、市民一人ひとりが安心して暮らし続けることができ、将来にわたって活力ある地域社会を維持していくことが、市役所の役割であると考えています。

そのため、行政サービスは、法令等を遵守しつつ、市民の意見をしっかりと聴き、市民一人ひとりに寄り添いながら、それぞれに最適なサービスを提供していくことが重要だと考えております。

そして、それらを実行することで得られた知見を積み重ねながら、これまでのやり方にとらわれず、柔軟に変化できる市政運営と組織づくりに取り組んでいくことが大切だと考えております。

青柳篤始

市民一人一人に寄り添い、これまでのやり方にとらわれず柔軟に市政運営や組織づくりをすすめていくとの答弁でした。では、その考え方を実際に行政サービスの中でどのように形にしていくのかもう少し具体的にお伺いしていきます。先ほど、行政の目的は、市民一人ひとりの困りごとを解決することだと申し上げました。その視点で考えると、市役所を訪れる市民は、○○課で手続きをしたいと思って来庁しているわけではありません。

例えば、子どもが生まれたとき、引っ越しをしたとき、親の介護が必要になったとき、あるいは家族がお亡くなられたときなど、市民は人生のさまざまな節目で市役所を訪れます。市民が求めているのは、手続きをすることではなく、その出来事によって生じた困りごとを解決することです。しかし、行政は組織ごとに制度や業務が分かれているため、市民は複数の窓口を回り、同じ内容を何度も説明したり、何度も同じ情報を記入したりする場面が少なくありません。

市民から見れば、一つの困りごとです。

一方、行政から見れば、複数の部署にまたがる複数の手続きになります。

私は、この市民目線と行政目線の違いが、市民負担につながっているのではないかと考えています。

実際に私のもとにも、ご家族を亡くされた市民の方から、一度市役所へ行っただけでは終わらず、4回も通うことになった。というお話を伺いました。

もちろん、それぞれの手続きには法令上の根拠や制度上の必要性があることは理解しています。しかし、市民にとっては、死亡届の手続き、保険の手続き、税の手続きではありません。家族が亡くなったという、一つの出来事です。

だからこそ、行政サービスも、課を起点に考えるのではなく、市民の困りごとを起点に考えることが重要ではないでしょうか。

そこで伺います。行政は市民がライフイベントごとに必要な手続きをよりわかりやすく、負担なく行える行政サービスを実現するために現在の手続きにおける市民負担をどのように認識しており、今後どのような考え方で行政サービスの改善をすすめていくのかお伺いいたします。

総務部長 渡邉清宏

 出生、転入、結婚、介護、ご家族を亡くされた場合など、さまざまなライフイベントにおきまして複数の手続きが必要となります。どの窓口へ行けばよいのかわかりにくい、複数の窓口を回らなければならない、同じ内容を何度も記載し、説明も聞かなければならないといったことは、市民にとって大きな負担があるということは認識しています。

ライフイベントに伴う手続きには様々な法令等が関わることから複数の部署にまたがることも多く、議員ご指摘のように市民、職員両方の負担が生じており、改善の余地があるということも認識しております。

これまで、総合案内窓口を設置して、訪れた市民の方を適切な窓口へ案内するとともに、複数の手続きが必要な場合には、所管課が一目でわかる手続き案内一覧をお渡しするなど、できる限り円滑に対応できる体制を整えてまいりました。

今後は、更に部局間の連携を強化するとともに、手続きや業務の進め方を見直すなど、市民負担の軽減と行政サービス向上に努めていきたいと考えています。

青柳篤始

市民、職員双方に負担が生じており改善の余地がある。また、

今後は部局間の連携や業務の進め方を見直していくとの答弁でした。では、その負担がなぜ生じているのか。ここからは行政内部の情報の流れという視点から掘り下げていきたいと思います。

前の質問で、市民から見れば一つの困りごとでも、行政では複数の手続きになっていることを申し上げました。

では、なぜそのようなことが起きるのでしょうか。

その背景には、それぞれの制度が法律に基づいて運用され、担当部署やシステムが分かれているという事情があります。専門性や正確性を確保するために必要な仕組みであることは理解しています。

一方、行政手続きを分析していく中で感じたことがあります。

それは、市民から一度お預かりした情報であっても、制度やシステムの違いにより、行政内部では何度も確認や照合が行われている場面があるということです。

これは紙かデジタルかという問題ではありません。

市民一人ひとりの情報が、制度ごとに異なる管理方法やシステムで運用されていることにより、行政内部で情報を確認し、照合し、必要に応じて入力業務が発生しています。

職員の皆さんも、市民のために日々業務に取り組まれています。しかし、制度やシステムが分かれていることで、本来、市民対応に充てられる時間が、確認や照合作業に費やされているのであれば、これは職員にとっても大きな負担ではないでしょうか。

私は、市民の負担を減らすことと、職員の負担を減らすことは、決して別の話ではないと考えています。

行政内部の情報連携や仕事の流れを見直すことは、職員の業務負担を軽減すると同時に市民サービスの向上にもつながる大きな可能性を持っているのではないでしょうか。そこで伺います。現在、市民情報は部署間でどのように連携、活用されているのか、お伺いします。

また、制度やシステムの違いにより、職員が重複して確認や照合、入力などを行っている業務について、市はどのように認識しており、行政内部の情報連携や業務の流れを見直す必要性について、どのように考えているのか、お伺いします。

創造戦略部長 山本紹央

ただいまの質問にお答えいたします。本市では、市民の皆さまに関する情報を、各業務の目的に応じて庁内の個別の業務システムで管理しております。 具体的には、住民基本台帳、税、健康保険、上下水道、介護、子育てなど多岐に渡ります。

市民情報を管理する際には、市民お一人おひとりを正確に識別するための宛名番号を使用しております。各業務システムで使用する宛名番号を統括したシステムで管理することにより、市民お一人おひとりの情報を適切にひも付けし、業務上必要な情報については、システム間でデータ連携を行っています。

例えば、健診の案内状印刷のために住民基本台帳のデータを使うなど、他課が管理するデータを業務で利用する場合には、あわら市電子計算組織の管理運営及び個人情報の保護に関する規則に基づき、データ使用承認申請書をデータを保有する所管課長に提出し承認を得た上で、関係法令や本市の例規、それぞれの業務を定める法令等に従い、業務上必要な範囲で利用しています。

このように、必要な情報については、システム間の連携や庁内でのデータ利用を行っていますが、すべての情報が自動的に連携されているものではありません。これは先にも述べたとおり、市民の個人情報などのデータを扱う業務については、それぞれの業務を定める法令等に従い、必要な範囲に限って利用が認められているからです。

しかしながら、確認手順や情報の受渡し方法、入力ルールなど、個々の業務の進め方を見直すことで、効率化できる余地はあると認識しております。

今後は、業務上必要な範囲における情報連携の在り方や業務の進め方を確認し、市民と職員双方の負担軽減や業務の効率化につなげてまいります。

青柳篤始

情報連携には法令上の制約がある一方で、確認手順や情報の受け渡し、入力の方法など業務の進め方には改善できる余地があるという答弁でした。

私はまさにここに行政改革の可能性があると考えています。では、こうした課題をどのように改善していけばよいのでしょうか。私は、その第一歩は、新しいシステムを導入することではないと考えています。

まず必要なのは、現在の仕事の流れを見直すことだと思っています。法律や制度には行政だけでは簡単に変えられることのできない制約があります。しかしその中でも仕事の進め方は変えることができます。

私は、ここに行政改革の大きな可能性があると考えています。

このように、業務全体の流れを見直し、本当に必要な仕事の進め方へ再設計する考え方を、BPRといいます。私は、BPRの目的は、単なる効率化ではないと考えています。ましてや、職員を減らすことでもありません。

本来、職員が行うべき仕事に時間を使えるようにすること、そして、市民と向き合う時間を増やすこと。これこそが、BPRの本当の目的ではないでしょうか。

さきほどの答弁にあったように、情報の利用は法令上の制約があります。安全性や個人情報保護を確保することは当然の前提です。その上で確認の仕方や情報の受け渡し、入力方法等今ある業務の中を見直す部分はあるということです。

行政改革とは、デジタル化そのものが目的ではありません。市民と向き合う時間を生み出すために、仕事の進め方そのものを見直すことが重要であると考えます。

そこでお伺いします。市では、市民サービスの向上と職員が市民と向き合う時間を確保するため、業務全体の流れを見直すBPRの考え方を、今後どのように取り入れていく考えなのか、お伺いします。

また、制度上の制約を踏まえつつも、部署間の情報連携や業務の効率化について、今後どのような方向性で取り組んでいく考えなのか、お伺いします。

創造戦略部長 山本紹央

ただいまのご質問にお答えいたします。本市では、BPRを、単に現在の業務をデジタルに置き換えることではなく、業務の目的や本質に立ち返り、仕事の進め方そのものを見直すことであると捉えています。

今後さらに人口減少が進み、限られた職員で行政サービスを維持していくことになる中、これまでと同じ方法を続けるだけでは、職員の負担が増し、市民サービスにも影響が及ぶことが懸念されます。

このため、法令を遵守した上で個々の業務手続だけでなく、部署間の情報共有や連絡調整を含めた業務全体の流れを見直していくことが重要であると考えています。

現在、見直しを進めている庁内の部署間連携については情報共有や連絡調整などの環境整備について、その活用状況や効果の分析を進めているところです。

また、DXについても、単にデジタル技術を導入するだけでなく、業務や庁内連携にどのような変化が生じたのかを確認し、その効果を測りながら改善を積み重ねているところです。

今後も、こうした取組を通じて、さらに個々の業務手続を見直し、業務全体の進め方や、負担軽減、業務の効率化、併せてそれらに関するKPI等についても検討して参りたいと考えています。

青柳篤始

業務改善の効果を確認しながら、またKPIについても検討していくとの答弁でした。これは非常に大切だと思います。単にDXをすすめた、新しい仕組みを導入した、で終わるのではなく何が変わったのかを確認し、次につなげていくことが重要です。ちょうど、今議会では決算審査が行われます。私は単にKPIの数値や予算の執行状況をみるのではなく、なぜそのKPIを設定したのか、その目標に至った経緯は何なのか、そしてその取り組みが課題解決に向けた最善の方法だったのか、これまでそうした一連の流れを大切にしながら決算を見てきました。数字を設定することが目的ではありません。課題を把握し、実行し、検証し、次の改善につなげるこの流れが重要です。その視点から最後にAIとEBPMについてお伺いいたします。

私は、AIは行政改革そのものではなく、行政改革を支える有効な道具であると考えています。仕事の流れが整理されていなければ、AIを導入しても十分な効果は発揮されません。一方で、業務を整理し、本当に必要な仕事が明確になれば、AIは大きな力を発揮します。

例えば、大量の資料の整理や要約、アンケートの分析、法令の先行事例の調査などは、AIが得意とする分野でもあります。一方で、市民の声に耳を傾け、相手の思いを受け止め状況を判断し、最終的な責任を持って意思決定することは、人にしかできません。

私は、AIが人の仕事を奪うのではなく、人が本来果たすべき仕事を支える存在であると考えています。

また、限られた財源や人員の中で行政運営を行うためには、経験や勘だけではなく、データや根拠に基づく政策立案をし、評価し、改善していくことも重要です。さきほどの答弁にもあったように取り組みの効果を確認し、指標や基準値を設置していくという考え方は、こうした行政運営にもつながるものだと考えています。いわゆるEBPM、証拠に基づく政策立案です。AIやデジタル技術は、そのためのデータ分析や情報整理を支える有効な手段にもなります。

しかし、AIに質問すれば何でも正しい答えを出してくれるものではありません。使う人が行政の仕組みや制度、仕事の流れを理解し、何を解決したいのかを明確にして初めて、その力を発揮します。

行政も同じです。仕事の目的や業務の流れを理解しないままAIを導入しても、本当の行政改革にはつながりません。

だからこそ、まず仕事の進め方を見直し、その上でAIやデジタル技術を適切に活用していくことが重要であると考えます。

そこで伺います。AIやデジタル技術は、業務の効率化や市民サービス向上の有効な手段ですが、その効果を発揮するためには、行政の仕組みや業務を理解した上で適切に活用できる職員の育成が重要と考えます。また、データや根拠に基づいて政策を立案・改善するEBPMの考え方も、これからますます重要になると考えます。

市では、AIを活用できる人材の育成と、EBPMの視点を取り入れた政策立案や業務改善について、今後どのように取り組んでいく考えなのか、お伺いします。

創造戦略部長 山本紹央

ただいまの質問にお答えいたします。

生成AIをはじめとするデジタル技術は、資料の作成や情報の整理、データの分析など、さまざまな場面で職員の業務を支える有効な手段になると考えています。

一方で、AIを行政の業務で有効に活用するためには、単に操作方法を身に付けるだけでなく、職員自身が業務の目的や制度、これまでの経緯を理解した上で、解決すべき課題を明確にすることが重要です。

また、AIが参照する資料やデータを読み取りやすい形で整理することや、得られた結果を確認し、検証や修正を重ねながら活用する必要があります。

こうした知識や判断力を身に付けるため、本市では、管理職を対象とした生成AIやBPRに関する研修、所属別のOJT研修、希望する職員を対象とした勉強会、庁内での活用事例や注意事項の共有などに取り組んで参りました。

また、庁内のデジタル人材育成を目的として、令和4年度からDX推進員の取組を継続しており、延べ73人の職員が参加しております。

生成AIや業務自動化などについて学ぶとともに、実際の業務を題材として、業務の整理から課題の把握、改善方法の検討までを実践的に学ぶ取組でございます。

今後もこうした研修と実践を組み合わせ、AIが有効な部分と職員が担うべき部分を判断できる職員の育成に取り組んでまいりたいと考えています。

また、客観的なデータや科学的根拠に基づいて、政策を立案するEBPMについては、現状で全ての業務に取り入れるには、必要なデータが足りていない事や、分析や評価を行うための仕組みが十分でないことなどの課題があると考えています。

EBPMを取り組みにあたっては、この考え方に適した業務から先行して取り組んでいくということが有効であると考えています。

まずは、先のAI活用の観点から、データ分析や整理などに生成AIを活用するとともに、総合的な評価制度などについても、AI活用を積極的に取り入れ、仕組みや枠組みのヒントになるよう、少しずつ改善していければと考えています。

青柳篤始

今までの業務改善、私も出来る限りのことで協力させていただきたいと思いますので何なりと言っていただけたらなというふうに思っています。  

最後に、私の考え方を申し上げます。AIが本当に急速に進化をしています。最近私は自分のホームページ上に一般質問のシナリオを考えるというページを公開しました。そのページをAIに読み込ませ、この考え方で○○というテーマで一般質問を作ってください、と指示すれば一般質問の骨格そのものは、わずかな時間で作ることが出来ます。ちなみにこの方法を知ったのもAIの検索提案からでした。自分の政策提案型の一般質問の作り方をAIから教えてもらい、非常になんとも複雑な気持ちでいるのも事実です。このように質問そのものを形にするのは以前に比べて格段にはやくなりました。しかし一方で、その質問に至るまでの経緯や何を課題として捉えるのか、その先に何を目指すのか、という部分はより多くの時間を使えるようになったのも事実です。一般質問のテーマによっては半年、あるいは一年かけて調査し、現場をみて人の話を聞き、考え続けることもあります。何かを生み出すというのはそういうものだと思っています。出来上がった質問が本当に地域の実情に合っているのか、その質問によって何を明らかにし、その先にどのような政策や行動につなげていくのか、そこを考え判断しその先を想像するのは人間です。AIによってつくる時間が短くなったからこそ、学ぶこと、現場を見ること、人の話を聞くこと、そして考えることにより多くの時間を使えるようになりました。ちなみに今現在も私のもっているAIで情報収集を自動的に行っているそういう時間が続いています。

今回、BPRやDX、AIについて申し上げてきましたが、つきつめればこれらは限られた時間を何に使うかという話であると思っています。短くできる作業は短くする、その分現場をみる、人の話を聞く、学ぶ、考える、判断する、そして新しいものを想像する。そういう人にしかできない仕事により多くの時間を使うことが大切なのではないでしょうか。AIは選択肢や理想像を示すことはできます。しかし、どの未来を選ぶのか、どの街を作るのか、そのビジョンを持つのは人間です。そして、これはAIだけの話ではありません。自然災害も各地で続いています。先日、私も熊本の被災地を訪れてきました。また、あわら市からも職員が被災地へ派遣されています。そこで何を見て、何を感じ、何を学び、何をあわら市に持ち帰るのか、そしてその経験を平時の業務にどう反映していくのか。こうしたことも業務改善を進めるうえで非常に大切なことだと考えています。

防災分野のBPRについてはまた特別委員会の中で議論していきたいと思いますが、以前職員のみなさんにお願いした防災時の手続き一覧についても同じです。なぜ災害が起きてからではなく、平時から手続きを洗い出し、業務の流れを想定してほしいのか、今回の話を聞いていただければその意図もご理解できるのはないかと思います。

大切なのは単にAIを使える職員を増やすことではありません。現場をみて制度を理解し、課題を見つけ、よりよい仕事の進め方を考え、業務改善につなげることできる職員を育てること、そしてそのような職員が育っていく組織を作ることだと考えています。もちろん、法律や制度上の制約があることも理解しています。

しかし、制度上できないで終わるのではなく、現場でみてきた課題を整理し、必要であれば国や県に対し、制度の改善を求めていくことも行政の重要な役割なのではないでしょうか。

人口減少や少子高齢化が進み、行政を取り巻く環境は大きく変化しています。限られた人員と財源の中で、これまでと同じやり方を続けていくだけでは、市民サービスを維持していくことは難しくなります。

その中で私が最も避けなければいけないと考えているのは、行政サービスが届きにくい地域や時間、いわば行政サービスの空白を生み出してしまうことです。こうした空白を生まないためにも限られた人員と時間をどこに振り分けるのか、どの業務を見直し、どこをデジタルやAIで支えるのか考えていく必要があります。

だからこそ、仕事の流れを見直し、AIやデジタル技術を適切に活用しながら職員が人にしかできない仕事により多くの時間を使える市役所を目指していただきたいと思っています。

行政の目的は、手続きを行うことではありません。市民一人ひとりの困りごとを解決することです。AIも、DXも、BPRも、その目的を実現するための手段です。

市民に寄り添い、市民と向き合う時間を増やす行政改革が進むことを期待し、私の一般質問を終わります。

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