水道料金は下がらない?あわら市が進めた県水料金見直しと将来への判断

目次

水道料金の話。値下げはできませんが、将来のために一歩進めました。

毎日の暮らしに欠かせない「水」。
今回は、その水道料金に関わる大切な見直しについてお伝えします。

まず、結論からお話しします。
今回の見直しによって、市民の皆さまの水道料金が下がることはありません。

ただし、将来に向けて無駄を減らし、水を守り続ける体制を整えるための前進であることは、ぜひ共有させてください。

数字で見ると、こういう規模感です

今回の見直しによる削減効果は、市全体では年間約3,200万円となります。

これを仮に11万世帯で割ると、1世帯あたり年間で約290円、月あたりにすると約24円という規模感です。

この数字を見ると、
市民一人ひとりの負担を大きく下げられるほどではない一方で、市全体としては3,200万円という「無視できない額」になる、ということが感覚的にも分かりやすいのではないでしょうか。

だからこそ、値下げではなく「守るため」に使います

水道事業では今、老朽化した水道管の更新、地震に備えた耐震化、維持管理費や工事費の高騰といった、避けて通れない課題を抱えています。

今回生まれる3,200万円は、市民料金を下げられるほどの額ではありませんが、将来の大きな負担を抑えるためには、確実に意味のある金額です。

そのため市としては、この効果を単純な値下げに充てるのではなく、水道管の更新や耐震化など、水を守り続けるための基盤づくりに活かす判断をしています。

そもそも、なぜ見直しが必要だったのか

これまであわら市は、「責任水量制」という契約で水を購入してきました。

これは、実際に使った量に関わらず、あらかじめ決めた量分の料金を支払う仕組みです。

人口が増え、水の使用量が伸びていた時代には合理的でしたが、現在は人口減少や節水機器の普及により、使われない水が増えている状況になっています。

その結果、実際には使っていない水の分まで料金を支払う、という状態が続いていました。

新しい仕組みへ。「使った分」と「守るための費用」

そこで導入されるのが、「二部料金制」です。

基本料金は、水道管や施設を維持し、いつでも水を使える状態を保つための費用です。
従量料金は、実際に使った水の量に応じた費用です。

この仕組みによって、無駄な支出を抑え、現実に合った形で水道事業を運営できるようになります。

多くの人の積み重ねで、ようやく進んだ一歩

この見直しは、市だけで決められるものではなく、県との協議が必要でした。

これまで時間をかけて調整が続けられ、12月議会においても、笹原県議会議員をはじめ、現場の実情を踏まえ制度改善に力を尽くしてくださった方々の後押しがあり、ようやく一歩前に進むことができました。

この先、私たちが進むべき道として

水道事業については、全国を見渡すと、ダムなどの水源を共有する給水事業の流域単位で、複数の市町が参加する共同企業体をつくり、運営している事例も多く見られます。

こうした形を取ることで、国の補助金を活用した配管の耐震化・更新が進めやすくなるだけでなく、日常の維持管理コストが抑えられるケースもあります。市民の立場に立てば、検討に値する選択肢の一つです。

ただし、あわら市の場合は、坂井市と同じ流域・同じ事業体の中にあります。
そのため、仮に新たな共同企業体をつくったとしても、全国の事例と同じような大幅なコスト削減につながるとは限らない可能性もあります。

現時点では十分なシミュレーションが行われているわけではなく、この点については慎重に検討すべき課題だと考えています。

それでも、経費を圧縮できる余地があるのであれば、検討を重ねていく価値はあるはずです。

最後に

料金を下げることは、正直に言えば簡単ではありません。
しかし、料金を上げずに済ませる努力を重ねることは、行政として果たすべき大切な役割だと考えています。

水は、命の次に大切なもの。
まさに「命の水」です。

その水を、行政としてこれからも確実に供給し続けること。
その責任を、決して軽く考えることはできません。

期待だけで語るのではなく、現実を見据えながら、一つひとつ判断を積み重ねていく。
その姿勢を大切に、これからも水道事業と向き合っていきたいと考えています。

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