女将の酒 新種お披露目会に参加してきました
― 想いと時間、そして“飲み方”まで含めて味わう日本酒 ―
女将の酒 新種お披露目会に参加してきました。
会場に足を運びながら、あらためてこの取り組みが歩んできた時間の長さと、そこに関わってこられた多くの方々の想いの積み重ねを、強く感じました。
このプロジェクトは、決して順風満帆だったわけではありません。
観光の先行きが不透明だった時期、イベントの開催自体に不安を抱えながらも、
「地域として何ができるのか」
「日本酒を通じて何を伝えられるのか」
を問い続けてこられた歩みが、今日につながっているのだと思います。
10年以上にわたって続いてきた取り組み。
その年月の中で積み重ねられてきたのは、技術や実績だけでなく、人と人との関係性、地域への想い、そして、どうやってこの酒を楽しんでもらうかという視点でした。
不安の中から始まった酒づくり
振り返れば、プロジェクトのスタートは決して楽なものではなかったと伺います。
観光の先行きが見えにくい時代、「本当にお客様に来てもらえるのだろうか」「続けていけるのだろうか」という不安の中で、それでも一歩を踏み出した。
背中を押したのは、行政、観光関係者、酒蔵、大学、そして旅館の女将さんたち。
「日本酒と食で、地域をもてなそう」
そのシンプルだけれど重い言葉が、今日まで続く道をつくってきたのだと思います。
工程すべてに関わるという覚悟
女将の酒の特徴は、単に名前を冠しているだけではない点にあります。
田植えから稲の成長を見守り、仕込みに立ち会い、熟成を経て、お客様のもとへ届くまで――
**すべての工程に“関わる”**という姿勢が、最初から貫かれてきました。
「良い酒は、酒蔵だけで完結するものではない」
そんな考え方が、この取り組みの根底にあるように感じます。
甘口と辛口、どちらもあるという選択肢
女将の酒には、甘口と辛口の二つがあります。
ここが、とても大切なポイントだと思いました。
どちらかを“おすすめ”として決めてしまうのではなく、
料理や好み、その日の気分で選んでいい。
甘口は、口当たりがやわらかく、米の旨みがじんわり広がる印象です。
日本酒に慣れていない方でも、自然と杯が進む。
会話を楽しみながら、ゆっくり飲みたい場面に合う味わいだと感じました。
一方の辛口は、後味がすっと切れ、料理の輪郭を引き立ててくれます。
食事と一緒に楽しむ場では、頼もしい存在です。
越前ガニに合わせるなら、どちらを選ぶ?
この時期になると、どうしても頭に浮かぶのが越前ガニです。
では、越前ガニに合わせるなら、甘口か、辛口か。
正直なところ、答えは一つではないと思います。
- 身の甘みを引き立てたいなら甘口
- 甲羅酒や濃い旨みと合わせるなら辛口
- 最初は辛口、途中から甘口に切り替えてみる
そんなふうに、飲みながら探していく。
「どちらが合うか」を考える時間そのものが、楽しみになる日本酒だと感じました。
あわら温泉で育てられてきた一杯
女将の酒は、あわら温泉で生まれ、あわら温泉とともに育ってきた日本酒です。
旅館という枠を超え、日本酒を通じて人と人をつなぎ、地域を盛り上げてきました。
観光の評価が高まり、全国から注目される中で、こうした地道な取り組みが、あわら温泉の魅力を底支えしてきたのだと感じます。
続いていくからこそ、意味がある
今回の会では、新たに加わった若い女将さんの紹介もありました。
世代を超えて引き継がれていく姿を見て、この日本酒が「一代限りの企画」ではないことを、あらためて実感しました。
数を追うのではなく、
派手さを競うのでもなく、
続けることを選んできた酒づくり。
それが、今の味につながっているのだと思います。
おわりに
女将の酒は、「こう飲んでください」と答えを押しつける日本酒ではありません。
料理に合わせて、好みに合わせて、その日の気分で選んでいい。
迷いながら飲むことも含めて、楽しんでほしい――
そんな余白が、この酒にはあります。
一市議会議員として、こうした地域の誇りとも言える取り組みを、これからも丁寧に見つめ、伝えていきたいと思います。
あわら温泉を訪れたとき、甘口か、辛口か。
その一杯を選ぶ時間も、ぜひ楽しんでいただけたら嬉しいです。
私は次にあわら温泉を訪れたとき、甘口からにするか、辛口からにするか――少し迷いながら選んでみたいと思います。
