苫小牧市視察レポート|こどもどまんなかアクションとベビとま運動、移住・定住から学ぶまちづくり

目次

苫小牧市を訪れて|こどもどまんなかアクションと移住定住の取組から学んだこと

11月初旬、北海道苫小牧市を訪れました。
現地では、市の職員の皆さまから温かく迎えていただき、
**「こどもどまんなかアクション」と「移住・定住対策」**について、
丁寧にご説明をいただきました。

■ 苫小牧市というまち ― 産業の力と新しい課題

苫小牧市は、新千歳空港と苫小牧港をあわせ持つ“ダブルポートシティ”
北海道の物流と産業の中核を担う「産業のまち」として知られています。

市内にはトヨタ自動車北海道をはじめ、製造業や港湾関連企業が多く集積しています。
また、近年は半導体工場やデータセンターの新設など、
新たな分野の産業集積も進んでいます。

ただし、担当課の方が率直に話しておられたのは、
必ずしも働く場所が大きく増えるわけではない」という現実でした。
データセンターなどは高度に自動化されており、
人手を多く必要としない性質の産業だからです。

つまり、産業の集積はあっても、人口増加には直結しにくいという課題。
まさに「産業のまち」としての強みと難しさが共存していると感じました。

その一方で、市の皆さんはこうした現状を正面から受け止め、
「人が住み、暮らしたくなるまち」を目指して、
産業だけでなく暮らしの質を高める取り組みを進めておられます。
現場の言葉には、まちを想う温かさと真剣さが感じられました。

■ 「こどもどまんなかアクション」と“ベビとま運動”

苫小牧市で印象的だったのは、
**青年会議所(JC)が立ち上げた「ベビとま運動」**です。

赤ちゃんマークのステッカーを掲示し、
“子育てにやさしい企業・お店”を市民に見える形で広げていく活動。
この取り組みを行政が引き継ぎ、
市として継続的に展開していく予定とのことでした。

「子育て支援は行政の仕事」と思われがちですが、
ここでは民間が先に動き、その思いを行政が受け止め、
仕組みとして支える姿が印象に残りました。

人手不足が深刻化するいま、
「子どもにやさしい企業でありたい」という姿勢は、
企業の魅力づくりにも直結します。
社員が安心して働ける環境は、結果として人材確保にもつながります。

実際、あわら市でも「人口減少に何か貢献できないか」と
企業の方から声をいただくことがあります。
こうした思いが行政と重なれば、
“まち全体で子育てを支える文化”が根づいていくのではないでしょうか。

企業と行政がそれぞれの立場から動き、
同じ方向を向いて協力する――
それこそが、地域の成長を支える本当の連携だと感じました。

■ 移住・定住対策と「ワーケーション × ペルソナ」の視点

続いて伺ったのは、移住・定住対策です。
苫小牧市では、産業都市としての強みを活かしながら、
テレワーカーやファミリー層など、さまざまな層に対応した施策を進めています。

特に印象に残ったのが、ワーケーション促進事業「エントリーパス制度」
市内のカフェやコワーキングスペース、レンタカーなどで使えるクーポンを発行し、
訪れた人が“働きながら滞在できる環境”を整備しています。

ただし、この制度の運用を通して浮かび上がったのは、
女性が一人で利用しづらい場所が多い」という課題でした。

「居酒屋などではなく、一人でも入りやすいカフェを増やしたい」
という担当者の言葉に、現場のリアルがにじみます。
また、市としても20〜30代女性の転出が多いことを課題と捉え、
“女性が戻ってきたくなるまちづくり”を模索しているとのことでした。

この姿勢に、私は強く共感しました。
移住・定住は単に「住む場所を選ぶ」ことではなく、
「自分の生き方を選べるまちをつくること」
そのためには、女性が安心して働き、暮らせる環境づくりが欠かせません。

■ 視察を終えて

今回の視察で心に残ったのは、
人の想いが行政を動かす」という姿勢です。

青年会議所が始めた“ベビとま運動”が行政に引き継がれ、
移住支援では現場の声が制度改善につながっていく。
その循環が、まちの力をゆっくりと育てているように感じました。

苫小牧市の皆さんの言葉や取組のひとつひとつに、
“人を想うまちづくり”がありました。

この学びを、あわら市でも生かしていきたいと思います。
地域企業や団体との小さな連携を積み重ねながら、
子どもにも、女性にも、そして働く人にもやさしいまちづくりを目指して、
一歩ずつ取り組みを進めていきます。

ご対応いただいた苫小牧市の皆さまに、心より感謝申し上げます。

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