「人が集まる施設」から「愛される施設」へ
― 永平寺町「えいぱーく」視察で考えたこと ―
あわら市にできる施設を、本当に使われる場所にするために
永平寺町の子どもの屋内遊び場「えいぱーく」を視察しました。
あわら市でも、全天候型の子どもの遊び場の整備が進められています。
施設を造ることが目的ではありません。
完成した後に、子どもや保護者に何度も利用していただき、地域に必要とされる場所として育っていくことが、本当のスタートだと思います。
今回は施設や遊具を見るだけではなく、運営方法や利用状況、開設後に見えてきた課題まで詳しくお話を伺いました。

「屋外の公園を、屋内に持ってきた」という考え方
えいぱーくは、松岡福祉総合センターの2階に整備された、未就学児とその保護者を対象とした無料の屋内遊び場です。
施設の広さは約485㎡。
年齢に応じて遊べるエリアが分けられ、中央には保護者が360度見渡せるベンチが配置されています。
担当者から何度も説明があったのが、
「屋外の公園を、そのまま屋内へ持ってきたような施設です。」
という考え方でした。
実際に中央のベンチに座ってみると、本当に施設全体を見渡すことができます。
保護者が子どもを追いかけて歩き回るのではなく、その場から子どもの様子を見守れるよう工夫されていることがよく伝わってきました。
一つひとつの遊具だけではなく、施設全体が「見守りやすさ」を考えて設計されていることが印象的でした。

想定を大きく上回った利用
開設前は月約1,300人の利用を見込んでいたそうですが、実際には月平均4,600人を超える利用がありました。
休日には約300人が訪れ、利用者の約7割は町外から来られているそうです。
その一方で、駐車場不足やトイレ清掃回数の見直し、0〜2歳児専用エリアの改善、飲食スペースの使い方など、実際に運営して初めて見えてきた課題もあったとのことでした。
施設は完成したら終わりではありません。
利用者の声を受け止めながら改善を続けることで、少しずつ地域に合った施設へ育っていくのだと感じました。
私が一番聞きたかったこと
今回、私が最も伺いたかったのは、
「困りごとが起きる前の相談につながる施設になっているのか」
ということでした。
子育ての相談は、本当に困ってから窓口へ行くとは限りません。
遊びに来たついでに、
「少し気になっていることがある。」
「誰かに聞いてみたい。」
そんな何気ない会話から相談につながることもあります。
永平寺町では、保健・保育・幼稚園・学校・教育委員会などが日頃から情報を共有し、子どもの成長段階に応じた連携を進めているとのことでした。
遊び場だけで相談件数が増えたという単純な話ではありません。
しかし、親子が自然に集まる場所と相談機能が近くにあることで、相談への心理的なハードルが下がり、必要な支援につながりやすくなる。
そんな可能性を感じることができました。
遊具だけで、使われる施設にはならない
新しい遊具や、きれいな建物は施設の魅力です。
しかし、それだけで長く愛される施設になるわけではありません。
どの年齢を対象にするのか。
保護者にはどのような役割をお願いするのか。
混雑した時はどう対応するのか。
子育て相談へどうつなげるのか。
こうした運営の考え方が、施設の価値を大きく左右します。
私自身、今回特に興味を持ったのは、安全管理の考え方でした。
永平寺町では、遊具の点検や施設の維持管理は行政が責任を持つ一方で、遊んでいる子どもの見守りは保護者の役割であることを明確にしています。
これは「行政は責任を負わない」という意味ではありません。
遊具そのものの安全性は、専門業者による点検や日常の維持管理によって確保されています。
一方で、子ども同士の遊び方や、その時々の危険を一番近くで判断できるのは保護者です。
実は、このような考え方は民間の屋内遊び場では比較的一般的です。
しかし、公共施設ではまだ多くない運営方法ではないでしょうか。
行政が担う責任と、保護者が担う責任。
その役割をあらかじめ整理しておくことは、施設を安全に、そして長く運営していくための一つの考え方だと感じました。
今回の視察では、遊具を見るというよりも、
「運営の考え方」を学ばせていただいた。
そんな時間だったように思います。

あわら市で本当に考えたいこと
今回の視察を通して、私自身も改めて考えさせられました。
これまで私は、
「どうすれば人が集まる施設になるのか。」
そんなことを考える時間が多かったように思います。
もちろん、施設を整備する段階では、人が集まりやすい場所を選ぶことや、周辺施設との連携を考えることはとても重要です。
あわら市でも、その視点で多くの議論が重ねられてきました。
しかし、場所が決まり、周辺施設との連携も見えてきた今だからこそ、一度原点に立ち返り、
「本当の運営とは何か。」
を考える時期に来ているのではないでしょうか。
新しい施設であれば、しばらくは多くの人が訪れます。
けれど、本当に大切なのは、その先です。
親子が、
「また来たい。」
と思える場所になっているのか。
困った時に自然と相談につながる場所になっているのか。
そして、行政にとっても無理なく、継続的に運営できる仕組みになっているのか。
その積み重ねが、地域に必要とされる施設へと育っていくのだと思います。
あわら市の遊び場も、完成したら終わりではありません。
利用者の声を聞きながら、少しずつ育てていく施設であってほしいと思います。
子どもたちが笑顔で遊び、
保護者が安心して見守ることができ、
困った時には自然と相談につながる。
そして、行政も無理なく運営を続けられる。
そんな場所になれば、遊び場は単なる施設ではなく、地域全体で子育てを支える拠点になっていくのではないでしょうか。
今回の視察では、多くの成功事例だけでなく、開設後に見えてきた課題や改善点についても率直にお話しいただきました。
そうした経験も含めて、あわら市のこれからの施設づくりに生かしていきたいと思います。

