質問
・2次交通について、生活交通(デマンド)観光客向け交通のサービスの特徴と課題点
・広域連携について
・MaaSの特徴と、相互評価システムとは
要約
- 新幹線の開業に伴い、二次交通の整備が重要:新幹線駅から地方の観光地や宿泊施設へのアクセス強化が必要。
- 乗合タクシーのサービス:事前登録制で、市内の337か所に停留所があり、一定料金で利用可能。しかし、市外への移動は限定的で、特に市外病院へのアクセスが課題。ウェブ予約やアプリ導入を検討中。
- 観光向け交通サービス(ぐるっとタクシー):市内の観光スポット間を結ぶワンコインタクシー。しかし、市外の主要観光地へのアクセスがなく、停留所の視認性も課題。
- 乗合タクシー運転手の質問題:運転手の質に関する苦情があるが、運転手への厳しい措置は規則上難しい。代わりに、研修を通じてサービス向上を目指す。
- 料金体系:乗合タクシーの運行費用の大部分が市の負担。観光タクシーの運行費用の一部は県の補助金によって賄われている。
- 広域連携の必要性:近隣市町との連携により、広域的な移動ニーズに応えることが重要。しかし、公共交通とのバランスを考慮しながら進める必要がある。
- デジタルの活用:データ収集と分析によるサービスの効率化、新しい交通サービスの開発など、デジタルツールの活用が提案されている。
要約すると、新幹線開業に伴い、地方の二次交通整備が急務であり、既存の乗合タクシーや観光タクシーサービスの改善、広域連携の推進、デジタル化によるサービスの最適化などが議論されています。
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本文
新幹線開業が来年3月に迫る中、新幹線の駅から県内各地の観光地、あるいは宿泊施設へ向かう二次交通の整備が急務となっております。
あわら市では、二次交通は生活交通を支えるデマンド交通と、観光客を対象としたぐるっとタクシーなどの観光系交通に分かれていますが、これら二つのサービスの特徴と課題点について、利用者の視点を重視し、明確に説明してください。
市民生活部長、山下綱章
まず、乗合タクシーのサービスの特徴といたしましては、事前登録制で登録証を発行し、電話予約により市内各停留所間での利用ができます。
停留所は、現在、市内全域に337か所設置しており、一部の停留所からは、坂井市の本丸岡まで運行しております。
料金は、市内一律料金となっておりますが、大人の方と、65歳以上の高齢者や小児、障害者手帳をお持ちの方とで、利用料金が二つに分かれております。
65歳以上の高齢者や小児、障害者手帳をお持ちの方につきましては、大人の方の利用料金より安く設定しております。また、乗り合いでの乗車につきましては、利用料金が安くなる割引を行うなど、運行の効率化にも努めております。
乗合タクシーの課題点といたしましては、市内全域に停留所を設置しておりますので市内の移動は可能ですが、市外への移動となりますと坂井市の本丸岡までしか移動はできません。
利用者からは、市外の病院など市外への移動ができるようにしてほしいとの声がありますが、一方で、市は鉄道やバスなどの交通事業者を支援する立場でもございます。それらの交通事業者とのバランスを考えた市外への移動が課題となっているところでございます。
また、病院の通院など、利用する時間が午前中に集中することから、時間によって電話予約がつながりにくいことがありますので、電話以外でも予約ができるようウェブ予約やアプリの導入も検討しているところでございます。
次に、観光客向けの観光交通といたしましては、あわらぐるっとタクシーを運行中です。このタクシーの特徴は、金津創作の森美術館や道の駅蓮如の里あわらなど市内の観光スポット28か所に停留所を設けており、そのスポット間の利用なら片道500円のワンコインで利用ができるという点でございます。利用の際は、事前の予約が不要で、駅待ちなどのタクシーにより、車内でぐるっとタクシーチケットを使用する旨を運転手に伝えていただくだけで、このタクシーが利用できます。
また、総合配車センターも開設しており、配車センターが各タクシー会社と連携し、空車状況確認後、配車することで、タクシーの待ち時間の削減に努め、スムーズな運用を行っているところです。
一方で、課題といたしましては、この制度はあわら市内の観光スポット間のみの利用となり、県内の観光地として多くの観光客が訪れる、お隣坂井市の東尋坊や丸岡城の観光地には行くことができません。この点に関しましては、広域的な利用ができないか検討する必要があると考えております。
また、ぐるっとタクシーの停留所が分かりにくいというご意見もいただいておりますので、これに関しましては、置き型停留所のものに加え、のぼりを設置することにより、視認性の向上を目指していきたいと考えております。
青柳篤始
それぞれの課で問題点を明確にしているのは非常によいことだと思われます。当たり前のことですが、問題解決とは問題点を羅列することだけでは解決しません。課題を正しく認識し、解決に向けて具体的な行動を起こすことこそが、サービスを向上させる最短の道だと考えていますので、そのためにも、皆様には今以上の向上心を持って取り組んでいただきたいと思います。
私からも、課題を一つ定義し、解決に向けたプロセスを提案させていただきます。
デマンドタクシーについて、住民の間で運転手の質に関する不満がしばしば耳にされます。市役所にも同様のご意見が寄せられていると思われます。
そのため、私が考える解決策は、このような行為が目立つ場合、運転手に対して駅前の乗り入れ権を一時停止する措置を取ることです。この厳しい措置が必要なのは、重大なインシデントにつながるおそれがあるためです。また、住民に対する態度が観光客に及ぶ可能性も大いにあります。訪れた旅行客に、住民に不快な思いをさせるような行為は絶対に避けなければなりません。
この提案について、ご意見をお聞かせください。
市民生活部長、山下綱章
ただいまのご質問にお答えいたします。
乗合タクシーについて、利用者から運転手に対してのクレームやご意見をいただくことはございます。
しかしながら、議員ご提案の運転手に対して駅前への乗り入れ権を一時停止する措置を取ることについては、芦原温泉駅交通広場条例第10条におきまして、使用の許可の取消し等がありますが、運転手の態度が悪いことを理由として、その運転手個人に対し、利用許可を取り消し、使用を制限し、または使用の停止を命ずることはできません。
市といたしましては、1人の運転手のことであっても、運行委託契約を結ぶ全社に対し、苦情等の情報共有を行い、指導、改善をその都度、要請しているところでございます。
さらに、市民はもちろん新幹線開業時に本市を訪れる観光客に対するタクシーのサービス向上を図る目的で、新幹線開業までに、乗合タクシーの運転手を含む市内のタクシー事業者を対象としたおもてなし研修を実施する予定でございます。
市といたしましては、今後も利用者から同様の苦情が出るようであれば、運行事業者に対し、運転手に指導、改善するよう要請していきたいと考えています。
青柳篤始
少し過激な提案になりましたが、住民が、観光のお客様がまた乗りたい、あわら温泉に来てよかったねと心から言ってもらえるよう、研修を通じしっかりとお願いいたします。
次に、料金体系について、お客様と行政の負担割合について伺いたいと思います。
各サービスにおいて、お客様と行政がそれぞれどの程度の負担をしているのか、具体的な比率を教えていただけますか。
市民生活部長、山下綱章
ただいまのご質問にお答えいたします。
まず、乗合タクシーの負担につきましては、令和4年度の運行実績で申し上げます。
運行部分の費用でいいますと、タクシー事業者への委託料といたしましては、年間の運行料約3,601万円から利用者負担額約704万円を引いた約2,897万円をお支払いしております。
そのため、利用者負担額約704万円と市の負担額であるタクシー事業者へ支払う委託料約2,897万円を比較いたしますと、利用者は運行料金の約24%をご負担していただいていることになります。
なお、市の負担額といたしまして、県の市町生活交通維持支援事業補助金1,375万円の補助がございますので、委託料約2,897万円から県の市町生活交通維持支援事業補助金1,375万円を差し引いた、約1,522万円が市の運行に対する実質の負担額となっています。
あわらぐるっとタクシーの負担につきましては、今年度の4月から10月の実績を申し上げます。
この期間、タクシー事業者への委託料といたしましては約398万円、チケット収入は約76万円となっております。利用者の運行料金に対する負担割合は約19%となっております。
また、この事業は、県の広域定額タクシー等運行支援事業補助金の対象となっており、今年度の補助金交付決定額は約189万円となっております。
青柳篤始
生活交通の維持のために多くの予算が投じられています。もちろん住民のため、市民のためではありますが、十分でないかもしれませんが、交通事業者への安定的な収入源になっているのも事実だと思います。しっかりした需要予測を基に安定的な経営とさらなる向上をお願いいたします。また、利用する方にも、今後もご理解とご協力を呼びかけてください。
次に、二次交通の広域連携に関してお伺いします。
私も、先ほどの答弁にもありましたが、二次交通の広域連携が非常に重要だと考えています。
その理由は、あわら市の施設だけでは住民生活や観光ニーズに十分応えられない、先ほどの答弁のとおりだと思います。この課題は、他の市町と連携することで初めて解決することだと思います。少なくともあわら市、坂井市、永平寺町、勝山市の間で広域連携が必要になるのではないかと考えますが、市の立場や現在の取組について、もう一度教えていただけますか。
市民生活部長、山下綱章
ただいまのご質問にお答えいたします。
近隣市町への広域的な移動は、市民の生活だけでなく観光客のニーズにも応えることになることから、近隣市町が連携し、一丸となって取り組む必要があると認識しております。
本市におきましては、乗合タクシーは市民の足として定着しておりますが、利用者からは、市外への移動を希望する声もお聞きしております。
一方、福井県は観光地に恵まれてはおりますが、それぞれの観光地が点在しており、交通拠点から離れているという弱みがあります。また、既存の公共交通機関では運行本数も少なく、移動に時間がかかるなど、議員ご指摘のとおり、観光客のニーズに応えているとも言い難いというものが現状でございます。
そのような中で、乗合タクシーやぐるっとタクシーについて、現在、近隣市との広域的な連携を検討しているところでございます。
しかし、鉄道や路線バスなど既存の公共交通機関も市民や観光客の重要な移動手段でもあり、それらとのバランスを考える必要もございます。そのため、完全な広域連携までの実現は難しいものですが、今後、一部の施設で連携ができないかを模索してまいりたいと思います。
青柳篤始
バランスに関しては非常に難しい問題があると思います。公共サービスと民間サービスのバランスは、確かに重要です。広域連携とは行政だけで行うものではなく、すみ分けと協力によって成り立つことが効率的で、多くの自治体がこの問題に取り組んでおります。
その一環として、交通の最適化、MaaSという取組があります。あわら市でも、来年2月よりMaaSの一部として、アプリを活用した実証実験が始まります。
全国の様々な地域で様々な手法が採用されており、これらの情報は容易に得られます。
私もいろんな場所で勉強させていただきましたが、最も重要なのは、収集したデータの活用です。これにより、利用者の動向を分析し、サービスの効率化を図ることができます。
例えば、どの路線が最も利用されているのか、そのデータに基づき、停留所の最適な位置の検証や、利用者の時間帯を分散させることも可能です。
また、タクシーよりバスのほうが効率的かもしれない。サービスの質については、相互評価、つまり、レビューの重要性が非常に高いです。これは、人間は悪い評価を受けることを避ける傾向にあるからです。
これらのデータを公開することで、新しいバス路線の追加、カーシェアリングやライドシェアリングなどの新交通サービスの新規参入や開発、新しい店舗の創出など、これまで不可能だったことを可能になるかもしれません。
これはあくまでも手段にしかすぎません。本質は、住民の生活をさらに便利にし、観光客を増やすことです。
デジタルの活用とは、多くのことを容易に視覚化できることにあります。単にデジタル化だけではなく、アナログとの融合、例えばアプリとコールセンターの同時運用など、これまで見過ごされてきた機会を見つけ、積極的に取り組むことが重要です。
二次交通について、多くの市民の方々から貴重なご意見をいただきました。この場をお借りして心より感謝申し上げます。いただいたご意見のおかげで数多くの課題を特定することができて、これから全てのサービスのさらなる改善につながると確信しています。
完璧なサービスが存在しない理由は、常に進化し続ける余地があるからです。市民の生活をより豊かにするために、見落とされがちだった機会を見つけ出し、それを積極的に取り組むことが重要です。
今後も利用される方の多くの声を基に、さらに利用されやすいサービスを共に検討し、実行していただきますようお願い申し上げます。