池田町の空き家対策に学ぶ|移住促進と関係人口のヒントとは?

池田町の空き家対策と、まち旅から学ぶこと

先日、福井県今立郡池田町をふらりと訪れる機会がありました。
実はお世話になっている方が池田町におられ、そのご縁で立ち寄らせていただいたのですが、ただの「立ち寄り」で終わらない、非常に学びの多い時間となりました。

目次

全国に誇る「池田町の空き家対策」

池田町は人口約2,000人の小さなまちですが、その規模とは裏腹に、全国的にも注目される空き家対策を行っています。

特に印象に残ったのが、移住希望者に対して「池田町での暮らしの心構え」を明確に伝える**「移住7箇条」**という考え方です。
たとえば——

  • 空き家は自分で探すべし
  • 直して住む覚悟を持て
  • 地域に入り込む姿勢を大事に
    など、「覚悟」と「受け入れのリアル」がしっかり提示されており、表面的な“移住歓迎”とは違う、本気の移住促進策になっていると感じました。

こうした姿勢のもと、池田町ではこれまでに多くの移住者が地域に根づき、町民とのつながりを築いているそうです。
これは「人と人をどうつなぐか」に注力してきた結果だと感じました。

「関係性を紡ぐ」まちづくりの哲学

池田町の空き家対策は、町が空き家を直接取得してリノベーションし、移住希望者へ提供するのではなく、町民と移住者を直接つなぐ仕組みを重視しているとのこと。
その姿勢は、現場の職員の方からも「繋ぐのが我々の仕事です」という言葉に象徴されていました。

また、「移住促進=人口対策」ではなく、“関係人口”を増やしながら、地域との関係性を紡いでいくプロセスそのものがまちづくりであるという考え方が根底にあります。
これは、あわら市にも通じる非常に重要な視点であり、今後の地域づくりにおいても大きなヒントとなるものだと感じました。

観光入込数と体験型コンテンツの充実

池田町がすごいのは移住だけではありません。
年間20万人の観光客を迎え入れるこの町では、自然の中で楽しめる体験型観光も充実しています。

その中でも注目したいのが、池田町の森を活かしたアドベンチャー施設「ツリーピクニックアドベンチャーいけだ」。
なかでも全長1kmを超えるジップラインは圧巻で、大人も子どもも楽しめる本格的なアクティビティです。

また、志津原地区には「かずら橋」やツリーピクニックなど多くの観光資源が集まっており、そこに新たに整備されたのが**「道のオアシス フォーシーズンテラス」です。
この施設は、旅行者と地域住民の双方に
くつろぎの場を提供するとともに、町内外への波及効果を見据えた観光地域づくりの拠点**として位置づけられています。

さらに、町中心部には、町営住宅と併設された複合施設「ツドエル」があり、図書館・カフェ・子育て支援・移住相談窓口といった機能が一体となったブック&コミュニティセンターとして、日常の暮らしと関係人口をつなぐ場になっています。
小さな町だからこそできる丁寧な仕組みに、感動すら覚えました。

脱炭素先行地域としての挑戦

池田町は、環境省が選定する「脱炭素先行地域」にも認定されており、町全体で環境対策にも取り組んでいます。
再生可能エネルギーの活用や薪ストーブの導入、町営住宅の断熱化などを通じて、CO2排出を2030年度までに実質ゼロにしようとしています。

池田町 脱炭素計画概要より
「森林資源の循環やエネルギーの地産地消によるコスト削減、そして地域住民が主役となる暮らしのデザインをめざす」

町の規模を活かしたきめ細かな施策は、全国の中山間地域のモデルにもなり得るものだと感じました。

あわら市の未来へのヒントとして

池田町のまちづくりを通じて感じたのは、地域の「誇り」は、他人が認めることで初めて「価値」となるということです。
自分たちにとって当たり前の風景や習慣も、他の地域から見れば「憧れ」や「学び」の対象になる。

あわら市にも、他にはない強みがあります。温泉、食、文化、そして人材。
その魅力をどう活かすか、どう伝えるか——今こそ見つめ直すときだと、池田町の訪問を通じて感じました。


「視察」という言葉がふさわしい、濃密な学びのまち旅でした。
今後、あわら市としても取り入れられる点を整理し、正式に現地視察として再訪したいと考えております。

小さな町だからこそできること、そして、あわら市だからこそ実現できる未来へ。
池田町の皆さま、貴重な気づきをありがとうございました。


参考文献・出典

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