あわら市の空き家対策と一般質問|効果的な管理と利活用の方法

質問

・空き家対策の概要について
・空き家バンクへの登録と情報共有について
・情報集約の重要性について
・空き家の売却における重要性について

要約

  1. 先般の子ども議会に感謝を述べ、生徒たちの積極的な参加が多くの人に感銘を与え、今後もさらなる挑戦を期待。
  2. あわら市の空き家対策について一般質問を行い、住民向けの具体的な説明を依頼。
  3. 市では空き家の実態把握や管理促進、空き家情報バンクの活用、補助金制度を通じた対策を実施。
  4. 空き家の情報集約と早期対応の仕組みが必要で、行政と住民間の距離を縮めるべきだと提案。
  5. 創造戦略部長は、空き家所有者へのサポートや、空き家情報バンクへの登録促進策について説明。
  6. 行政と民間企業の連携の重要性を強調し、補助金に依存しない持続可能な発展を目指すべきだと提案。

本分

青柳篤始

  冒頭、先般行われました子ども議会において、理事者の皆様、生徒の皆様、保護者の皆様、教職員の皆様には多大なるご尽力を賜り、誠にありがとうございました。心より感謝申し上げます。おかげさまで、多くの方々から反響をいただき、ユーチューブの再生回数は9万回を超える成果を上げております。この夏、全国で最も注目を集めた子ども議会になったことだと思っております。また、1年間、議会事務局の皆様には、準備等々で大変ご尽力をいただきました。この場をお借りして議会事務局の皆様にも改めて深く感謝申し上げます。

 特に、生徒の皆さんが積極的に議論に参加し、その姿が多くの人に感銘を与えていることをお伝えしたいと思います。皆さんの取組が多くの人々に注目され、その成果が大きな反響を与えていることはすばらしいことです。これからも自信を持って、さらに、さらなる挑戦を続けていっていただきたいと思います。

 また、理事者の皆様がきらきらした目で、真摯に答弁されていた姿が印象に残っております。私も子ども議会に負けないよう、これから一般質問を行いますので、皆様にも引き続き目を輝かせてのご答弁をお願いしたいと思います。

 それでは、一般質問に移ります。一問一答方式でお願いいたします。

 あわら市が取り組んでいる空き家対策についてお伺いします。

 これまで多くの議員がこの問題に関して議論してきましたが、今回の一般質問では、住民の皆様へのお知らせとしてお話しください。特に、空き家を所有している方や空き家を探している方向けに、分かりやすくその対策の概要を説明していただけますでしょうか。

市長 森 之嗣

 空き家対策の意義と概要についてお答えをいたしたいと思います。

 市では、平成29年3月にあわら市空家等対策計画を策定いたしまして、空き家対策を総合的かつ計画的に実施をしております。空き家対策を進めるためには、空き家の実態を把握することが重要です。このため、市では平成28年度と令和元年度に区長の協力を得て空き家の実態調査を行い、全市的な空き家の件数や老朽化の程度などを把握しております。また、地域住民からの情報提供や職員によるパトロール等により随時個別の空き家の状況も把握しており、令和5年度末の市内の空き家の件数は659件となっています。令和元年度の実態調査では610件だったことから、4年間で49件増加しております。

 これら空き家の適切な管理を促すため、市の空き家等対策計画では、三つの基本方針を掲げ、様々な施策に積極的に取り組んでおります。

 具体的に申し上げますと、一つ目は、空き家等の発生予防、適切な管理の推進でございます。市内の空き家の所有者に対して、空き家無料相談会の開催や空き家の適正管理に関するリーフレットを配布するなど、空き家が管理不全とならないよう努めております。一方、既に管理不全となっている空き家については、その所有者に対して適切に管理するよう要請しています。さらには空き家になる前の段階から建物所有者の相談に応じるなど、空き家の発生防止にも努めているところです。

 次に、2点目の空き家等の利活用の促進でございます。利活用が可能な空き家については、その所有者に対して、市が運営する空き家のマッチングサイト、あわら市空き家情報バンクへの登録を働きかけています。空き家は人が住まなくなると、急速に老朽化が進行します。よい状態のうちに有効活用することが重要であり、その第一歩が空き家情報バンクへの登録であると考えております。こうしたことから、自らが所有する空き家を登録する上で、どこの仲介業者に頼んでいいか分からない、登録するのに何を準備すればいいか分からない、そもそも売却できるか分からないなどといった不安をお持ちの所有者に対しては、職員が直接空き家を訪れて状態を確認したり所有者の代わりに仲介業者を選定したりすることによって、空き家情報バンクへの円滑な登録につなげています。空き家情報バンクの登録状況につきましては、令和5年度末の40件に対し、新規登録が25件、成約が14件、取消しが6件行われ、令和6年7月末現在では45件となっています。

 最後に三つ目は、特定空家等対策でございます。特定空家とは、倒壊等保全上の危険性や周辺の生活環境に悪影響を及ぼす可能性が高い空き家であり、その所有者に対して特に助言や指導を強化するとともに、特定空家等除却支援補助金を活用して、所有者自らが解体することを促進しています。また、所有者が確知できない特定空家については市が略式代執行を行うなどとし、周辺の生活環境の改善に努めております。

青柳篤始

 まず、何をとっても空き家バンクに登録することが重要な第一歩だとおっしゃっていますが、恐らく、恐らくというか、主に区長さんを中心に情報交換を行っているんだと思います。

 それでは、例えば、ここが空き家になっているといったほかの方からの情報はどのように共有すればよいのでしょうか。

創造戦略部長 渡邉清宏

 市内の空き家に関する情報は、市民協働課が窓口となって随時受け付けをしております。この場合の情報提供者は、区長に限らず、空き家の所有者や地域住民など、どなたからの情報でも受け付けをしております。受け付けた空き家の情報につきましては、職員が現地を確認するとともに所有者を特定し、利活用が可能な空き家であればその所有者に対しまして空き家情報バンクへの登録の働きをかけております。

青柳篤始

 ここが非常に重要なポイントだと思います。確かに様々な問題や制約があるとは思いますが、より多くの人から情報を集約できればさらに多くの空き家が空き家バンクに登録され、可能性が広がるのではないでしょうか。

 では、どのようにして情報集約を進めるべきだとお考えですか。

創造戦略部長 渡邉清宏

 空き家は個人の財産であり、空き家情報バンクへの登録につきましては、原則所有者が行うことになっております。空き家情報バンクの認知度は年々高まっており、令和元年度が登録18件、成約12件だったのに対しまして、令和5年度は登録42件、成約26件と、登録数及び成約数とも増加しております。しかしながら、いまだに空き家情報バンクを見たことがないという方が一定数いることも事実でございます。このため、毎年、利活用が可能な空き家の所有者に対しまして空き家情報バンクへの登録を促すチラシを配布し、登録を働きかけております。また、市では、空き家情報バンクに空き家を登録していただいた所有者に対しまして、奨励金を交付する空き家情報バンク登録奨励金や、空き家の家財処分に係る費用を支援する空き家家財処分支援補助金を創設し、空き家情報バンクへの登録を促進しております。

 一方で、昨年12月に空家等対策の推進に関する特別措置法が改正され、空家等管理活用支援法人制度が創設されました。この制度の狙いは、NPO法人や社団法人といった民間法人を支援法人に指定することで、民間のノウハウの活用をはじめ、自治体が不足する人員や知識の補完を期待できることにあります。今後は、空家等管理活用支援法人を活用することも検討してまいりたいと考えております。

青柳篤始

 行政が行う空き家対策には限界があるのも事実です。先ほども述べたように、区長さんからの情報以外にも多くの方から空き家の情報を集めることができれば、空き家バンクがさらに充実し、その利用方法も広がることでしょう。

 しかし、現実には多くの住民の方は、草が伸びたり屋根が崩れそうだったり、台風が心配になってきて初めて何とかしてほしいと行政に訴えてくるのが現実です。実は、その時点では既に手後れになっていることが多いです。そのため、住民からの苦情が入る前に情報を集約できるシステムの構築が必要です。それができれば、一歩先とはいかなくても半歩でも前に進めることでしょう。最も重要な仕事は、課題を解決することではなく、課題解決を早める仕組みをつくることです。職員の皆さんも日々その仕組みづくりに取り組んでおり、サステナブルな行政運営とはこの仕組みづくりにあります。ただ、現状では、行政と住民との間には情報認識の距離が離れ過ぎていたり、行政と住民の間をつなぐシステムが存在しないのが問題です。観光まちづくりビジョンでも、この空き家対策がアクションプランに挙げられていましたが、プランよりも具体的な行動が一刻も早く必要です。私も可能な限り協力していきたいと考えています。

 また、行政と住民をつなぐような団体やシステムは企業誘致や発展にも有効だと考えています。行政では部署が分かれていますが、空き家や空き地を探しているのは個人だけではありません。工場増設用地など他の事業においても同様に関連性を持たせたり、取組が重要です。こうした取組がサステナブルな行動を推進し、地域全体の発展にもつながると確信しています。行政にはこの点を十分に考慮し、持続可能な対応をお願いしたいと考えております。

 ただし、特措法の適用のように解決が難しいケースが存在することも事実です。これは、日本全国で直面している課題であり、非常に複雑な問題を含んでいますが、解決に向けた一歩として、問題の定義と解決策の提案を進めていくことが重要です。私も含めて多くのケーススタディーを通じ、実践的な取組を積み重ねていく必要があります。そして、これらの取組が法的なレベルに達する際には、適切な要望を届けることも求められていると考えています。

 さて、空き家の情報集約や取組については理解できました。民間のシンクタンクの調査によると、空き家率は年間2%ずつ上昇し、2040年代には25%に達成すると予測されています。一方で、新築は約27%減少する見込みであり、リフォームの市場は僅かに成長し続けると見込まれています。このデータが意味する意味はある程度想像がつくと思います。そこで、今後重要となるのは、いかに空き家を売るかです。しかし、空き家はただ売ればいいというものではありません。計画的にターゲットを狙って売らなければ、何のデータも蓄積されず、それが経験値にもつながりません。

 そこで、あわら市では空き家対策としてどのような売り方の取組を行っているのか、具体的に教えてください。

創造戦略部長 渡邉清宏

 市では、空き家の有効活用と市への移住定住を促進するために、空き家情報バンクに登録された空き家を居住用として購入に要する費用を支援する空き家取得等支援補助金を実施しております。この補助金は、空き家を購入する場合、市がターゲットとしております県外からの移住者や子育て世帯、新婚世帯等に対しましては、通常50万円のところ100万円の補助金を交付しております。さらに、購入した空き家をリフォームする場合につきましても、通常50万円のところ100万円の補助金を交付しております。なお、令和5年度の実績は、24件中11件が移住者、9件が子育て世帯となっております。

 引き続き、市がターゲットとしております県外からの移住者や、子育て世帯、新婚世帯等に対しまして手厚く支援することで、空き家対策と移住、定住の促進を図ってまいりたいと考えております。

青柳篤始

 今年、新たに受け入れた広報戦略アドバイザーを最大限活用し、実際に効果のあるマーケティングを行ってほしいと考えています。実際、行政と民間の間を埋める団体が最も力を発揮するのは、この売る側だと思っています。物を売るためには、まず情報を的確に届けなければいけません。届かない情報は選択肢にすら入らないからです。ただ、こうした団体は民間の力で立ち上がることが不可欠です。なぜなら、行政が補助を入れるとその団体がサステナブルではなくなってしまうからです。いわゆる悪銭身につかずとなり、民間事業者が最も恐れる状態を招くからです。そこで、お互いのリソースを尊重し合い、協力する関係を築くことが理想的だと考えています。そうすることで、地域や人材を育てるような健全な関係が生まれます。サステナブルな地域発展が可能になることを期待しています。

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