大鳥神社の秋祭り|金津町の歴史ある伝統行事と大銀杏の魅力

大鳥神社の秋祭りと金津町の歴史

福井県あわら市金津町に位置する大鳥神社は、地元住民にとって特別な場所であり、毎年9月15日に行われる「秋祭り」は、長い歴史とともに地域の伝統行事として受け継がれています。私も今年、この秋祭りに参加し、改めてこの神社と金津町の深い結びつきを感じることができました。

大鳥神社の歴史と由来

大鳥神社は、金津町で最も古い神社とされ、その歴史はこの町の起源にも関わると言われています。金津町は、かつて宿場町として栄えた場所で、総持寺がこの地を拠点とした際、鬼門除けとして大鳥神社が建立されたのが始まりです。鬼門とは、北東の方角を指し、この方角は風水上、災いが入りやすい方位とされています。総持寺の僧侶たちは、この方角から金津を守るため、大鳥神社を建てたと言い伝えられています。

そのため、大鳥神社は単なる神社以上の存在であり、この地に住む氏子たちにとっては、金津町の守護神として大切にされてきました。私たち氏子も、この神社を敬い、毎年4月11日と9月15日に神社を開き、祭祀を行います。この祭りは、地域の伝統として代々受け継がれており、今年もその習わしを守りながら、無事に秋祭りを開催することができました。

秋祭りの見どころと地域の結束

秋祭りでは、地元の氏子や区民が一堂に会し、神社を中心に様々な行事が行われます。特に、子どもたちによる托鉢(たくはつ)は、かつてから続く風習の一つです。庚申堂に祀られている学問の神様、菅原道真公に感謝を捧げ、地域の小学生が町内を歩いて托鉢を行います。托鉢とは、僧侶や修行者が修行の一環として人々に施しを受ける行為であり、神社と地域の結びつきを象徴する重要な行事です。

私も子どもの頃、この托鉢に参加した経験がありました。当時は、托鉢用の金を持つことに憧れていたものでしたが、今でもその時の記憶は鮮明に残っています。かつては、多くの子どもたちが参加していましたが、時代が進むにつれて子どもの数が減少し、さらに学校や習い事で忙しい日々を送る子どもたちにとって、参加が難しくなってきています。

しかし、今年の秋祭りは日曜日ということもあり、自然と托鉢の伝統が復活しました。町内を歩く1人の子どもの姿は、かつての賑わいを思い起こさせ、地域の心に根付いたこの風習が未来へと続いていくことに希望を感じました。やりたくてもやれない事情がある中で、自然にその伝統が再び息を吹き返すということは、非常に喜ばしいことです。無理のない範囲でこのような伝統が続き、地域の皆さんがそれを理解し、受け入れてくれることこそ、この神社の氏子として誇りに思うべきことです。

大鳥神社の大銀杏

大鳥神社の境内には、あわら市指定文化財(天然記念物)として知られる2本の大銀杏の木があります。社前に立つ一本目の銀杏は、根回り6.5メートル、高さ35メートルを超える堂々たる姿を誇ります。この大銀杏は、境内を訪れる人々にその壮大な存在感を与え、紅葉の季節には金色に輝く葉が美しく、まるで神社そのものを守っているかのような印象を与えます。

もう一方の銀杏は西南の隅に立ち、根回り6.8メートル、高さは28メートル以上ありましたが、雪害などによる被害を受け、現在はその高さが低くなっています。しかし、この木には昔、竹田川に停泊していた舟の舫綱を繋いでいたという言い伝えが残っており、長い歴史を物語っています。

銀杏は、中国原産とされる裸子植物の一種で、最古の現生種の一つです。大鳥神社に立つ2本の銀杏はいずれも雄株であり、毎年秋になると、鮮やかな紅葉を見せてくれます。銀杏の木はその壮大な姿と、紅葉の美しさで知られており、秋祭りの時期にはこの紅葉が訪れる人々を魅了します。

特に、毎年11月になると、この大銀杏は見事な黄金色に染まり、周囲の風景を彩ります。紅葉の見頃には、多くの観光客や地元の人々がこの美しい風景を楽しむために訪れ、神社は紅葉狩りの名所としても知られています。もしまだ訪れたことがない方がいらっしゃるなら、ぜひこの機会に足を運んでみてください。

左義長と地域の絆

大鳥神社では、秋祭りの他にも多くの行事が行われており、その中でも1月の第2日曜日に開催される「左義長(さぎちょう)」は、特に地域の結束を象徴する重要な行事です。左義長は、正月の飾りや書き初めなどを焚き上げ、新しい年の無病息災や家内安全を祈る行事で、地域住民が一堂に会して神社に集まります。このような行事は、神社と地域の結びつきを強め、住民同士の絆を深める重要な役割を果たしています。

私たち氏子や地域住民は、大鳥神社をただの神社としてではなく、地域の歴史や文化、そして人々の絆を象徴する場所として大切にしています。この神社が守り続けてきた伝統や風習は、次世代へと受け継がれ、これからも続いていくことでしょう。

大鳥神社と地域の未来

秋祭りや左義長といった伝統行事は、地域の誇りであり、未来へと受け継ぐべき大切な文化です。少子化や生活様式の変化に伴い、これらの行事が続けられることが難しくなってきている現状もありますが、それでも地域住民の理解と協力があれば、伝統は自然と復活し、未来へとつながっていくものです。

特に、この地区に住む方々、そして氏子の方々を私は心から誇りに思います。彼らの努力と献身が、地域の文化と伝統を守り続けているのです。 神社があり続ける限り、私たちはその誇りを持ち続け、地域の歴史や文化を守り、次世代へとつないでいく責任があります。

大鳥神社は、単なる神社の枠を超えて、地域全体の絆を象徴する存在です。ここに住む一人ひとりが神社とともに歩み、神社と共に守られている。そうした繋がりがあるからこそ、私はこの地域を愛し、誇りに思うのです。皆さんも、ぜひ大鳥神社に足を運び、その歴史や文化を感じながら、地域の一員としての誇りを共有していただければと思います。

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