私は、なぜ「根拠」にこだわるのか
賛成か、反対か。その前に大切にしたいこと
議員として活動していると、「賛成ですか、反対ですか」と聞かれる場面が数多くあります。
もちろん、議案に対して自分の判断を示すことは、議員の大切な役割です。
しかし私は、賛成か反対かという結論と同じくらい、あるいはそれ以上に大切なことがあると考えています。
それは、「なぜ、その判断をしたのか」を説明できることです。
どのような資料を確認したのか。
どのような現場を見たのか。
市民の皆さんから、どのような声を聞いたのか。
どのような議論を重ね、何を基準に判断したのか。
結論だけではなく、そこに至るまでの過程を市民の皆さんに伝えることが、議員に求められる説明責任ではないでしょうか。
「議員とは何をする仕事なのか」から考えた
議員定数や議員報酬、政務活動費について議論するとき、どうしても人数や金額が注目されます。
しかし、その前に考えなければならないことがあります。
そもそも、議員は何をする仕事なのか。
議会は、どのような役割を果たす場所なのか。
私は、議会活性化特別委員会での調査研究を通じて、この根本的な問いについて考えてきました。
議員の仕事は、会議に出席し、採決に参加することだけではありません。
市民の声を聞くこと。
現場へ足を運び、実態を確かめること。
資料や制度を調べ、他の自治体の事例を学ぶこと。
議案や予算を審査し、行政の仕事を確認すること。
調査や研究を政策提言につなげること。
必要な条例を考え、今ある条例を見直すこと。
そして、自分たちの活動を市民の皆さんに分かりやすく伝えること。
こうした役割を整理し、当時の議会がどこまでその役割を果たせているのかを確認するため、議員を対象としたアンケートと評価基準を作成しました。
このアンケートは、前回の改選を控えた時期に、当時の全議員16名を対象として実施したものです。
議会活動、議員活動、市民意見の集約、行政への監視、議員数や政務活動費などの妥当性という幅広い視点から設問を作り、16名全員から回答を得ました。
選択式の回答だけではなく、なぜその回答を選んだのか、具体的な理由も記述してもらいました。
出席していることと、成果を生み出すことは同じではない
アンケートの結果を見ると、採決への参加率、本会議への出席率、委員会への出席率は、いずれも平均5.0点という高い結果でした。
議会に出席し、採決に参加するという基本的な役割は、しっかり果たされていることが分かります。
一方で、政策提言が市政にどの程度反映されたかという項目は平均1.4点、新しい条例の提案は平均0.8点、既存条例の見直しは平均0.9点でした。
また、議会運営のロードマップの進捗管理は平均0.5点、目標達成度は平均0.6点という結果でした。
この数字から見えてくるのは、出席率が高いことと、議会として政策や条例を生み出し、目標を持って改善を続けることは、必ずしも同じではないということです。
出席することは、議員としての大切な前提です。
しかし、その先に何を生み出したのか。
市民の声をどのように政策へつなげたのか。
調査や研修で得た知識を、どのように市政へ生かしたのか。
議会として何を目指し、どこまで進んだのか。
そこまで振り返って初めて、議会の役割を評価できるのではないかと考えています。

▲このアンケートは、あわら市議会として初めて実施したものです。今回の点数は、他の議会や議員と比較するためのものではなく、今後の取組や変化を確認するための基準点です。
アンケートの設問、集計結果、回答理由の詳細は、以下の報告書でご覧いただけます。
数字は、誰かを責めるためのものではない
このアンケートは、あわら市議会として初めて行った試行的な調査です。
そのため、今回示した点数は、他の議会や他の議員と比較して、優れている、劣っていると評価するためのものではありません。
比較する相手となる過去の調査結果もなく、今回の数字だけを見て、点数が高い、低いと結論づけるものでもありません。
私は、この結果をこれからの議会を考えるための基準点だと捉えています。
例えば、政策提言や条例の提案、議会運営の進捗管理について、今後どのような取組を進めるのかによって、点数は変わっていきます。
議会として目標を定め、実際に取り組み、その後に同じ基準で振り返る。
その変化を確認することで、何が改善され、何が課題として残っているのかが見えてきます。
大切なのは、今回の点数そのものではありません。
この結果を出発点として、議会がどのように学び、行動し、改善していくのかです。
もちろん、このアンケートだけで、議員一人ひとりの仕事をすべて評価できるわけではありません。
回答には自己評価が含まれ、議員の活動には回数や点数だけでは測れないものもあります。
一度の質問が大きな政策変更につながることもあれば、何年も調査を続けても、すぐには結果が出ないこともあります。
この調査は、議員の優劣や順位を決めるための完成された評価制度ではありません。
当時の議会の現在地を確認し、これからの改善につなげるために始めた、最初の取組です。
設問や採点方法が適切だったのか。
活動の回数だけではなく、その質や成果をどのように確認するのか。
市民の皆さんから見た議会の評価を、どのように取り入れるのか。
今後も検証を重ね、より分かりやすく、納得できる仕組みに改善していく必要があります。
根拠は、議会の中だけでは作れない
私は、議員アンケートだけで判断したわけではありません。
議会の中で議論し、議員の役割を整理するだけではなく、市民の皆さんがどのように受け止めているのかを確認するため、市民アンケートも実施しました。
議員定数は、市民の代表者の人数を決める重要なテーマです。
だからこそ、議会だけで結論を出すのではなく、市民の皆さんがどのように考え、何が伝わっていて、何が伝わっていないのかを知ることも、判断するための大切な根拠になると考えました。
議員アンケートと市民アンケートの結果は、それぞれ別の記事で詳しく紹介しています。
私は、すでに一つの根拠に到達していた
このアンケートや評価基準を整理する中で、私は一つの考えに到達していました。
それは、議員定数を16名から14名に減らしたとしても、議会の役割を維持することは可能ではないか、という考えです。
ただし、このアンケートだけで、14名という人数を導き出したわけではありません。
議員の役割、委員会の構成、議会運営、議員一人ひとりが担う仕事などを重ねて考える中で、14名でも議会機能を維持できる可能性があると判断しました。
当時の議会活動を数字や具体的な回答から確認した結果、人数を2名減らしたとしても、役割分担や議会運営を工夫することで、議論や行政監視を成り立たせることはできると考えました。
しかし、前回、議員定数削減が議論された際、私は反対しました。
根拠に到達していても、議論を飛ばしてはいけない
私が前回反対したのは、議員定数削減そのものを否定していたからではありません。
自分の中では、14名でも議会の機能を維持できるという一定の根拠に、すでに到達していました。
それでも、議会全体でその根拠を共有し、十分に議論し、市民の皆さんに説明する過程が必要だと考えていました。
なぜ14名なのか。
14名になっても、行政をチェックする機能を維持できるのか。
市民の多様な声を届ける機能は弱くならないのか。
議員一人ひとりの負担は、どのように変わるのか。
定数を減らした後、議会の機能が維持できているかを、何を基準に検証するのか。
こうしたことを議会で話し合い、その内容を市民の皆さんに説明した上で、結論を出す必要があると考えていました。
しかし私は、14名とする根拠や、削減後の議会機能をどのように検証するのかについて、結論を出すために必要な議論には、まだ到達していないと判断しました。
自分の中で一定の結論が見えていたとしても、議会として必要な議論を飛ばしてよい理由にはなりません。
だから私は、前回の議員定数削減に反対しました。
そして、討論の最後に、こう申し上げました。
「今じゃない。」
定数削減が必要ないという意味ではありません。
議論も説明も十分ではない中で、結論を出すのは今ではない。
必要な過程を重ね、市民の皆さんに説明できる状態になってから判断すべきだという意味でした。
私が反対したのは、削減という結論ではなく、その時点での決め方だったのです。
改選後、議会の構成も大きく変わった
このアンケートを実施したのは、前回の改選を控えた時期でした。
その後の選挙によって議員の構成は大きく変わり、現在は新人議員が議会の半数を占めています。
新しい議員が加わることには、新しい視点や、これまでとは異なる市民感覚が議会に持ち込まれるという大きな意味があります。
一方で、これまで議会に蓄積されてきた知識や経験を、議会全体としてどのように共有し、次へつないでいくのかも重要になります。
これは、新人議員個人の問題ではありません。
議会全体の課題です。
議案や予算の読み方、行政を確認する視点、委員会運営の方法など、議会活動に必要な知識や経験を共有し、互いに補い合う仕組みが必要です。
議員構成が大きく変わった今だからこそ、議員数だけを議論するのではなく、調査、審査、政策提言、市民への説明といった議会の機能を、どのように維持し、高めていくのかを考えなければなりません。
人数を減らせば、自動的に議会の質が高まるわけではありません。
一人ひとりが役割を理解し、学び続け、議会全体で知識や経験を共有する仕組みがあって初めて、定数削減後も議会の機能を維持できると考えています。
根拠だけでなく、議論と説明が必要
議会の判断に必要なのは、データだけではありません。
根拠を示すこと。
その根拠をもとに議論すること。
異なる意見を聞くこと。
そして、判断に至った過程を市民の皆さんに説明すること。
このすべてがそろって初めて、議会として責任ある判断になるのだと思います。
議論は、あらかじめ決めた結論を正当化するために行うものではありません。
異なる意見を聞き、自分の考えに足りなかった視点を知り、必要であれば判断を見直すために行うものです。
最初から結論が決まっているのであれば、議論を行う意味は薄れてしまいます。
根拠とは、数字だけではない
私が大切にしている「根拠」とは、数字や資料だけを指すものではありません。
現場で見たこと。
市民の皆さんから聞いた声。
制度や法律を調べて分かったこと。
他の自治体で学んだ成功や失敗。
議員同士で交わした意見。
それらを組み合わせ、自分なりに考えた上で判断することが大切だと思っています。
現場の声だけで判断すれば、市全体の状況を見落とすことがあります。
一方で、数字や制度だけを見て判断すれば、市民の暮らしの実感から離れてしまうことがあります。
だからこそ、現場と資料の両方を見る。
市民の声を聞き、制度を調べる。
他の事例を学び、あわら市に当てはめて考える。
議会で異なる意見を聞き、さらに考える。
その積み重ねがあって初めて、自分の判断に責任を持つことができます。
市民の声を、どう判断につなげるのか
議員には、市民の皆さんからさまざまな意見が届きます。
同じテーマでも、賛成する方と反対する方がいます。
市民の声を聞くことは、いただいた意見を無条件にそのまま採用することとは異なります。
まずは、その声をきちんと受け止める。
必要なことを調べる。
異なる意見や、市全体への影響も確認する。
その上で判断し、何を優先し、何を基準にしたのかを説明する。
そこに、議員としての責任があると考えています。
市民から厳しい意見をいただくこともあります。
その意見を理由の一つとして判断することはあると思います。
しかし、それだけを理由にしてしまえば、なぜその結論になったのかを十分に説明することはできません。
議員には、自分の判断を支える根拠と、その判断に至るまでの過程を示す責任があります。
「現場で学び、市民の声を市政へ。」
このホームページでは、行事への参加や議会での発言を報告するだけではなく、その活動を通じて何を学び、どのように考えたのかもお伝えしていきたいと思っています。
現場で見たことを、そこで終わらせない。
市民の皆さんからいただいた声を、聞いただけで終わらせない。
調査し、研究し、議会で議論し、政策や提案へつなげる。
そして、その後どうなったのかを確認し、必要であれば再び考える。
「現場で学び、市民の声を市政へ。」
この言葉には、そうした継続的な姿勢を込めています。
判断した理由を説明できる議員でありたい
議会は、議案を審議し、判断を示す場所です。
しかし同時に、なぜその判断をしたのかを、市民の皆さんに説明する場所でもあります。
賛成したという結論だけではなく、なぜ賛成したのか。
反対したという結論だけではなく、なぜ反対したのか。
どのような根拠を持ち、どのような議論を経て判断したのか。
前回と今回で、議員定数削減に対する問題意識が変わったわけではありません。
私が一貫して求めているのは、結論を支える根拠と、市民に説明できる判断過程です。
私はこれからも、結論だけを伝えるのではなく、「なぜ、その判断をしたのか」を説明できる議員であり続けたいと思っています。
次回は、この考え方をもとに、議員定数を16名から14名へ削減する議案と、政務活動費に関する議案について、私がどのように考え、判断しているのかをお伝えします。


