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月読 〜笙の音に包まれて、名月に思いを馳せて〜
毎年、中秋の名月に開催される福井県護国神社の朗読舞台「月読」。
今年も、心静かに参加させていただきました。
朗読は福田布貴子さん。
その声に引き込まれながら、今年は雅楽演奏家・青木総喜さんの笙(しょう)の音色が境内を包みました。

笙(しょう)は「天から差し込む光」とも言われるそうです。
まさに、月明かりや星のあかりのように、澄んだ音が夜空に溶けていきました。
さらに青木さんのお話では、雅楽は人間の喜怒哀楽を表すものではなく、
それぞれの想いの中で自由に感じてよい音楽だと。

その言葉を胸に、13分にも及ぶ演奏を聴きながら、私も多くのことを思いました。
1400年前の旋律が、現代にも通じる感性として生き続けていることに、深い感動を覚えました。
それぞれが、それぞれの想いの中で生きている現代。
そのひとり一人の心に、光が差し込むような時間でした。
終盤、福田さんが英霊の手紙を朗読されました。
家族に宛てたその手紙には、「まもるもの」があるからこそ未来を信じ、歩もうとする人の強さがありました。
何かを“変える”ことは、実はとても簡単なのかもしれません。
けれど、ただ変えるだけでは、本当の意味で未来は動かない。
まもるべきものをまもり抜いてこそ、初めて未来は変わっていく。
先人たちの言葉に触れ、改めてそのことを強く感じました。
静かな月夜の下、心の奥に灯りがともるようなひととき。
来年の中秋の名月も、またこの場所で「月読」に参加したいと思います。
そして、多くの方にも福井県護国神社に足を運んでいただきたい。
福田さんの紡ぐ物語、そして朗読の響きが、きっと心に残る最高の時間になるはずです。
