政務活動費を、私はどう考えるのか
私は、現時点では反対です
前回の記事では、議員定数削減について、私が賛成する理由をお伝えしました。
今回は、もう一つの議案である政務活動費について、私の考えをお伝えします。
結論から申し上げると、私は現時点では反対です。
しかし、それは政務活動や調査研究を否定しているからではありません。
私は、政務活動は議員にとって欠かすことのできない大切な活動だと考えています。
だからこそ、制度の目的や、その活動によって何が生まれたのかを、市民の皆さんに説明できる仕組みでなければならないと思っています。
機会損失を防ぐという考え方には共感しています
政務活動費を導入する理由の一つに、
「経済的な理由によって、必要な調査研究の機会を失わせない」
という考え方があります。
私は、この目的には共感しています。
必要な現地調査や研修を、お金がないという理由で諦めなければならないのであれば、それは議員個人だけでなく、議会にとっても、市民にとっても損失です。
今回議論されている制度は、議員が一度費用を負担し、その後に精算する後払い方式です。
一方で私は、機会損失を防ぐことを本当の目的とするのであれば、活動前に必要な費用を確保できる先払い方式という考え方もあると思っています。
先に自分で費用を準備できる議員だけが活動できるのであれば、経済状況による差は残ります。
もちろん、先払いにするのであれば、残金の返還や使途の確認、活動内容の報告など、厳格な仕組みが必要です。
ただ、私が今回もっとも疑問に感じているのは、先払いか後払いかという支払い方法だけではありません。
私が違和感を覚えたのは、議論の順番です
今回の議論では、
- どのような用途なら認められるのか
- 他の自治体で起きた問題を踏まえ、どのようなルールにするのか
- 不適切な使用を防ぐには、どのような仕組みが必要なのか
といった説明が中心でした。
もちろん、公費を使う以上、不適切な使用を防ぐ仕組みは必要です。
使途を明確にし、領収書を確認し、情報を公開することも欠かせません。
しかし私は、その前に議論すべきことがあると考えています。
それは、
「政務活動費は、何のためにある制度なのか」
という原点です。
目的が明確にならないまま、使用できる項目や精算方法だけを細かく決めても、制度が何を生み出したのかは見えてきません。
まず目的を整理する。
その目的を実現するために、必要な活動や支出を考える。
そして、その活動が何につながったのかを確認する。
制度設計は、本来その順番で行うべきではないでしょうか。
議員の質と、議会の質は違います
議論の中では、
「議員の質を高めるために、政務活動費が必要だ」
という説明もありました。
しかし、私はここに違和感を覚えました。
議員一人ひとりの資質を高めることと、議会全体の機能を高めることは、似ているようで全く違う話だからです。
例えば、議員個人の資質向上や、幅広い人材が議員を目指せる環境づくりを考えるのであれば、議員報酬のあり方を議論する方が、より直接的かもしれません。
一方、政務活動費は、議員個人の生活や待遇を支えるためのものではありません。
私は、政務活動費は、議会機能を強化するための制度であるべきだと考えています。
政務活動費を受け取れば、私の質は上がるのか
では、政務活動費を使えるようになれば、私自身の議員としての質は上がるのでしょうか。
私は、まったく変わらないと思っています。
お金を受け取ったから学ぶのではありません。
必要だと思えば、自分で調べる。
現場へ行く。
市民や関係者の話を聞く。
制度を確認する。
他の自治体の事例を調査する。
そして、そこで得たものを政策へつなげる。
それは、政務活動費があるかどうかにかかわらず、議員として行うべきことです。
制度が導入されたからといって、突然、学ぶ姿勢が生まれるわけではありません。
政務活動費を使ったというだけで、議員の質が上がったことにもなりません。
大切なのは、その活動が何につながったのかです。
一般質問につながったのか。
政策提言につながったのか。
条例の提案や見直しにつながったのか。
議案や予算を審査する視点が深まったのか。
議会全体の議論を前へ進めたのか。
そして、その先に、市民の皆さんの暮らしが少しでも良くなったのか。
私は、そこまで見なければ、本当の意味で議会の質が高まったとは言えないと思っています。
支出ではなく、その先を追跡する
一人ひとりの議員が政務活動を行うことで、議会全体の調査力や政策提案力が高まる。
その結果、行政への監視や政策の議論が深まり、市政の改善につながる。
さらに、その成果が市民サービスや住民福祉の向上として、市民の皆さんへ返っていく。
私は、この一連の流れが大切だと考えています。
つまり、確認すべきなのは、
何にいくら使ったか
だけではありません。
本当に確認すべきなのは、
その活動が何に結び付いたのか
です。
政務活動費の報告書には、支出先や金額だけでなく、
- 何を調査したのか
- 何を学んだのか
- あわら市の課題と、どのような関係があるのか
- 一般質問や政策提言にどうつながったのか
- 今後、どのように生かしていくのか
まで記載する必要があると思っています。
すぐに結果が出ない活動もあります。
一度の視察や研修だけで、政策が実現するとは限りません。
だからこそ、短期的な成果だけを求めるのではなく、その後どのように生かしたのかを継続して確認することが必要です。
政務活動費を使った時点で終わるのではなく、その先を追跡する。
その仕組みが、議会の活性化につながるのではないかと考えています。
議会も、客観的な評価を受ける仕組みを
私は、その評価を議会だけで完結させるべきではないと思っています。
外部有識者で構成される委員会などから、客観的な意見を受ける仕組みも、検討する価値があるのではないでしょうか。
議会は毎年、行政の予算や決算を審査しています。
事業の目的は何か。
費用に見合った成果があったのか。
改善すべき点はないのか。
私たちは、行政に対してこうした確認を行っています。
それならば、議会自身についても、
「議会機能は本当に向上しているのか」
「政務活動費が、市民の利益につながっているのか」
という視点で、外部から意見を受けることは、ごく自然なことではないでしょうか。
議会の中だけで「適切だった」と判断するのではなく、市民や専門家の視点も取り入れる。
そのことが、制度への信頼を高めることにもつながると思います。
議会にかかる費用を、もっと建設的に考える
議会にかかる費用については、単に「増やすか、減らすか」だけで考えるべきではないと思っています。
大切なのは、
その費用を使って、議会がどのような価値を生み出すのか
です。
議員定数を減らす。
政務活動費を導入する。
議員報酬を見直す。
それぞれを別々に議論するのではなく、
どのような議会を目指すのか
という全体像の中で考えるべきではないでしょうか。
議会が調査力を高める。
行政への監視を強める。
政策を提案する。
市民の声を、より確実に市政へ届ける。
そのために必要な費用であれば、市民の皆さんにも説明できると思います。
制度の導入方法だけではなく、議会全体をどう良くしていくのかという、もっと建設的な議論ができてもよかったのではないか。
私は、そのように感じています。
私が目指したい制度
私は、政務活動費そのものに反対しているわけではありません。
調査研究の機会損失を減らしたいという目的にも共感しています。
しかし、制度を導入するのであれば、少なくとも次のことを明確にする必要があります。
制度の目的は何か。
どのような活動を支援するのか。
何を成果として確認するのか。
政務活動と、政治活動や選挙活動をどのように区別するのか。
活動の成果を、市民の皆さんへどのように公開するのか。
その成果を誰が評価し、次の改善へどうつなげるのか。
私は、制度を導入すること自体を目的にしてはいけないと思っています。
本当に大切なのは、
調査研究
↓
政策提案
↓
議会機能の向上
↓
市民サービス・住民福祉の向上
という一連の流れです。
この流れが市民の皆さんに見える制度であって初めて、政務活動費は議員への支給ではなく、議会への投資として説明できるのではないでしょうか。
制度の先に、市民の幸せが見えるか
私は、政務活動費に反対したいわけではありません。
議会機能を高め、その成果が市民の皆さんへ返っていく制度にしたいのです。
だからこそ、現時点の議論と制度設計のままでは、賛成することはできません。
制度があるから使うのではない。
お金を使ったから、活動したことにするのでもない。
調査し、学び、政策へつなげ、その成果を市民の皆さんへ返していく。
そして、その過程と結果を説明する。
制度の先に、市民の幸せが見えるか。
私は、その視点を忘れてはいけないと考えています。


