文化は、変わりながら受け継がれていく|芦原温泉発祥地修義式と第21回あわら湯かけまつり
今年も8月8日、芦原温泉発祥地で行われた修義式に参列しました。
今年の式は、とても印象的な始まりでした。
式が始まるのとほぼ同時に、空には雷鳴が響きました。
そして、式が終わる頃には天候も変わり、空には虹がかかっていました。
毎年、同じ8月8日に行われる修義式ですが、当然ながら同じ一日はありません。
今年は、雷で始まり、虹で終わる。
そんな記憶に残る修義式となりました。
【写真:芦原温泉発祥地修義式の様子】
143年、受け継がれてきたあわら温泉
あわら温泉の始まりは、1883年(明治16年)。
今年で143年になります。
普段、あわらに暮らしていると、温泉があることを当たり前のように感じてしまいます。
しかし、143年という歴史を振り返れば、今の温泉街の風景も、多くの人たちが温泉を守り、地域を支え、次の世代へとつないできた積み重ねの上にあります。
今年の修義式には、会長をはじめ、温泉発見者のご子孫、近隣地区の区長・副区長、子ども会長、各温泉の経営者など、多くの関係者が参列されていました。
私は、この参列者の顔ぶれそのものに、この式を続けていく意味が表れているように感じました。
温泉を発見した方につながるご子孫がいる。
今の温泉街を支えている人たちがいる。
地域を支える人たちがいる。
そして、その中に子ども会長が参列されていました。
正直、このような式典の場で子ども会長という立場の方が参列されている姿を、私は初めて見ました。
しかし、その姿を見た時、143年続いてきたあわら温泉の歴史を次の世代へつないでいこうとする、地域の皆さんの思いを感じました。
文化は、過去のものを大切に保存するだけでは続きません。
次の世代が関わり、「自分たちの地域の大切なもの」として受け取っていくことで、初めて未来へつながっていくのだと思います。
過去から現在へ、そして次の世代へ。
143年という歴史は、ただ温泉が湧き続けてきた時間ではありません。
人から人へ、思いから思いへ受け継がれてきた歴史なのだと思います。
文化は、変わりながら受け継がれていく
伝統や文化というと、「昔と同じことを、そのまま続けること」と考えてしまうことがあります。
でも私は、少し違うのではないかと思っています。
人は変わります。
時代も変わります。
地域の姿も変わります。
お祭りの内容や運営の方法も、その時代に合わせて少しずつ変わっていきます。
新しい人が加わり、新しい企画が生まれ、その時代に合った形へ変わっていく。
それでも、その根底にある「地域を大切にしたい」「次の世代へつないでいきたい」という思いが受け継がれていく。
私は、それこそが文化なのではないかと思います。
変わらないことが文化なのではなく、変わりながら受け継がれていくことで、文化になっていく。
どれだけ長い歴史があっても、次の人へ受け渡されなければ、いつか途切れてしまいます。
だからこそ、毎年続けることにも、新しい人が関わることにも意味があります。
そして、その時代に合った方法で知ってもらい、楽しんでもらうことも、文化を次へつなぐためには大切なのだと思います。
そして今年も、第21回あわら湯かけまつり
修義式が行われる8月8日からは、今年で第21回となる「あわら湯かけまつり」が始まります。
会場では開会式も行われ、今年もあわら温泉の夏のお祭りが始まりました。

湯かけ御輿をはじめ、太鼓やダンス、民踊の夕べ、饅頭まきなど、今年もさまざまな催しが行われます。
お祭りは、その日を楽しむイベントでもあります。
一方で、地域の文化を次へつないでいく大切な場でもあります。
準備をする人、出演する人、運営を支える人、毎年楽しみに訪れる人、そして今年初めて参加する人。
さまざまな人が関わることで、祭りは毎年少しずつ姿を変えながら続いていきます。
21回という数字も、そうした一年一年の積み重ねです。

祭りの日だけではない、あわら温泉の楽しみ方
せっかくあわら温泉へ来ていただくのであれば、ぜひ温泉街そのものも楽しんでいただきたいと思います。
あわら温泉では、「あわら湯のまち三薬師 よるもうで」も行われています。
温泉街に受け継がれてきた三つの薬師を巡りながら、夜のあわら温泉を楽しむ取り組みです。
湯かけまつりのような大きなイベントの日だけではなく、開催期間中は夜の温泉街を歩きながら、あわら温泉の歴史や雰囲気に触れることができます。
昔から大切にされてきたものを、ただ残すだけではなく、今の時代に合った楽しみ方を加えながら、多くの人に知ってもらう。
これもまた、文化を変わりながら受け継いでいく一つの形ではないでしょうか。
温泉に入ったあと、少し夜の温泉街を歩いてみる。
そんな時間も、あわら温泉の楽しみ方の一つです。
「あわら湯のまち三薬師 よるもうで」については、公式サイトもぜひご覧ください。
あわら湯のまち三薬師 よるもうで
https://yorumoude-awara.com
にぎわいを、その日だけで終わらせない
湯かけまつりには、多くの人があわら温泉を訪れます。
こうしたお祭りをきっかけに、温泉に入り、温泉街を歩き、お店に立ち寄り、あわらの魅力を知ってもらう。
そして、「また来たい」と思ってもらう。
イベントを開催することだけではなく、そこで生まれたにぎわいを、温泉街や地域全体へどうつなげていくのか。
これは、これからの観光やまちづくりを考えるうえでも大切な視点だと思っています。
湯かけまつりのような大きなイベントがあり、その前後には温泉街の日常があり、夜には「よるもうで」のような楽しみ方もある。
「イベントを見に来る場所」から、「時間を過ごしたくなる温泉街」へ。
そうした楽しみ方が少しずつ増えていくことが、地域のにぎわいにもつながっていくのではないでしょうか。
8月8日・9日は、ぜひあわら温泉へ
今年の「あわら湯かけまつり」は、8月8日(土)・9日(日)の2日間開催されます。
湯かけ御輿をはじめ、ステージイベント、ダンス、民踊の夕べ、饅頭まきなど、今年もさまざまな催しがあります。
温泉に入り、温泉街を歩き、夏のお祭りを楽しむ。
そして夜には、いつもとは少し違うあわら温泉の風景も楽しんでみてください。
どうぞこの機会に、あわら温泉へお越しください。
そして、ぜひ覚えてください。
わくわく、8月8日・9日は湯かけまつり。
あわら温泉の夏を、ぜひ一緒に楽しんでいただければと思います。
次の世代へ
雷で始まった今年の修義式は、虹とともに終わりました。
143年前に始まったあわら温泉も、これから先、まったく同じ姿のまま続いていくわけではないと思います。
それでいいのだと思います。
その時代、その時代の人たちが関わり、少しずつ形を変えながら、大切なものを次へ渡していく。
今年の修義式で、温泉発見者のご子孫から、現在の温泉街や地域を支える皆さん、そして次の世代につながる方々までが同じ場所に集まっている姿を見て、改めてそのことを感じました。
文化は、受け継がれていくことで文化になっていく。
私自身も現場に足を運び、地域の歴史や、それを支えてきた皆さんから学びながら、あわら温泉のこれから、そして地域の大切なものを次の世代へどうつないでいくのか、これからも考えていきたいと思います。





