懐かしい公園が、新しい景色に|駅前児童公園から考える、これからのまちづくり

リニューアルされた駅前児童公園のkanaz terraceと開放的な公園風景

駅前児童公園に立つと、少し懐かしい気持ちになりました。

私が中学生だった頃から、この場所には公園がありました。

昔から知っている場所です。

その公園が今回、大きく姿を変えました。

まず感じたのは、開放感です。

リニューアルされた駅前児童公園の遊具、健康遊具、芝生広場と園路
遊具や健康遊具、芝生広場などが整備された駅前児童公園。園内を歩くと、以前よりも開放的な印象を受けます。

公園の中だけで完結するのではなく、竹田川へ視線が抜けていく。

以前とはずいぶん違う景色になりました。

新しくなった公園を歩きながら昔のことを思い出すと同時に、

「ここから、この場所がどう育っていくのだろう」

ということを考えていました。

目次

この公園だけを見ていては分からないこと

今回の駅前児童公園だけを見ると、
「公園が新しくなった」という一つの整備事業に見えるかもしれません。

しかし、少し時間をさかのぼってみると、その背景には長く続いてきた駅周辺のまちづくりがあります。

あわら市では、平成18年3月に「芦原温泉駅周辺整備基本計画」が策定されました。

その後、北陸新幹線の開業などを見据えて計画が見直され、駅だけではなく、その周辺をどのようなまちにしていくのかという議論が続いてきました。

平成28年には、市民アンケートや市民参加型のワークショップなどを通して寄せられた意見をもとに、

「都会にはないぜいたくがあるまち」

というコンセプトが掲げられました。

全国のデザイナーによる将来デザインが示され、平成28年11月には、小学生から高齢者まで約400人が参加する市民投票も行われています。

駅前児童公園に設置された鬼瓦のモニュメント

園内に設置された瓦のモニュメント。新しく整備された公園の中にも、地域らしさを感じられる場所があります。

こうした取り組みの中で考えられてきたのは、駅だけをきれいにすることではありません。

駅周辺を歩き、人の流れがまちへ広がっていくこと。

駅前から商店街へ、そして竹田川へ。

今日の景色は突然できたものではなく、長い時間をかけて議論され、少しずつ形になってきた駅周辺のまちづくりの延長線上にあるのだと思います。

駅から竹田川へ

駅前児童公園のkanaz terraceと竹田川方面へ広がる開放的な風景

「kanaz terrace」。公園を一つの目的地にするだけでなく、ここから竹田川や周辺へ歩いていくきっかけになることも期待されています。

今回の公園には、竹田川を眺める「kanaz terrace」をはじめ、屋根付きの休憩スペース、健康遊具、ガーデンスペースなどが整備されています。

かまどベンチやソーラー照明など、災害時を意識した設備も盛り込まれています。

しかし、私が特に注目したいのは、設備の一つ一つだけではありません。

この公園が、どこにつながっていくのか。

現在進められている竹田川周辺の整備では、JR芦原温泉駅から駅前児童公園、竹田川、そして周辺のまちなかへと、人が歩いて周遊できる空間づくりが考えられています。

駅を利用した人が、公園まで歩いてみる。

公園から竹田川を眺める。

そこから、もう少し歩いてみる。

反対に、地域の方が散歩やウォーキングの途中で、公園に立ち寄る。

そんな小さな人の動きが積み重なっていくことも、この公園の大切な役割なのだと思います。

名前は「児童公園」だけれど

「駅前児童公園」という名前ですが、今回の公園を歩いてみると、子どもだけの場所ではないことが分かります。

子どもが遊ぶ。

散歩の途中で少し腰掛ける。

健康づくりに使う。

花や緑を囲んで地域の人が話をする。

友人と竹田川を眺める。

駅を訪れた人が、少し足を延ばしてみる。

私は、そんな何気ない使われ方がたくさん生まれる公園になってほしいと思っています。

たくさんの人を集めるイベントだけが「にぎわい」ではありません。

毎日の暮らしの中で、

「ちょっと公園まで歩こうか」

と思えることも、地域の豊かさの一つではないでしょうか。

公園は、完成した時がゴールではない

そして、ここからが大切だと思っています。

公共施設は、完成した瞬間に答えが出るものではありません。

新しいものをつくれば、それだけで地域が変わるわけでもありません。

この公園も、地域の皆さんとの関わりの中で、これから維持され、使われていくことになります。

だからこそ、

「つくったから、あとは地域にお願いします」

でも、

「イベントをする団体に使ってもらえばいい」

でもないと思います。

行政、地域、活動する団体、そして利用する市民。

それぞれが無理のない形で関わりながら、この場所をどう育てていくのか。

行政も、整備が終わった後の使われ方を見続け、一緒に考えていくことが大切だと思います。

想定した使われ方と、本当の使われ方

公園をつくる段階では、さまざまな使い方を想定します。

でも、本当に市民がどう使うのかは、これから分かってくることです。

どこに人が座るのか。

子どもたちはどこで遊ぶのか。

テラスはどう使われるのか。

散歩やウォーキングのコースとして定着するのか。

駅から竹田川へ歩く人は増えるのか。

ガーデンスペースが地域の交流につながるのか。

計画した通りになるものもあれば、想像していなかった使い方が生まれるかもしれません。

私は、それでいいと思っています。

公共空間は、市民に使われながら、その場所らしい役割が少しずつ見えてくるものではないでしょうか。

だからこそ、完成した今だけを見るのではなく、1年後、3年後、5年後も見ていくことが大切です。

次の世代にとっての「あの公園」へ

今日、この場所を歩いていて、私は中学生の頃の駅前児童公園を思い出しました。

でも、今この公園で遊ぶ子どもたちにとっては、この新しくなった公園が、これからの「駅前児童公園」です。

何十年か後、

「あの公園、よく遊びに行ったな」

と思い出す人がいるかもしれません。

そう考えると、まちを整備することは、古いものを新しくするだけではなく、次の世代の記憶をつくっていくことでもあるのだと思います。

私にとって懐かしい公園が、新しい景色に変わりました。

でも、本当の意味でこの公園がどんな場所になるのかは、まだこれからです。

散歩の途中でふっと立ち寄る。

何気なく通り抜ける。

子どもたちが遊ぶ。

誰かと話をする。

竹田川を眺めながら、少し休む。

そうした一つ一つの日常が積み重なって、いつかこの場所ならではの風景になっていく。

完成は、終わりではなく始まり。

これからこの公園がどのように使われ、駅と竹田川、そして人と人をどうつないでいくのか。

私自身も現場を見ながら、地域の皆さんや行政とともに考え続けていきたいと思います。

  • URLをコピーしました!
目次