「今やっていることを、すべて次の人に引き継いでください」
そう言われたら、皆さんは引き受けられるでしょうか。
地域の行事や自治会活動を支えてきた方々が高齢化し、次の担い手が見つからない。これは、あわら市でも身近になっている課題です。
今回、あわら市議会総務厚生常任委員会の行政視察で滋賀県高島市を訪問し、人口減少や高齢化が進む中で、地域の暮らしをどう支えていくのか、「住民自治協議会」の取り組みについて学びました。
自治会だけでは解決できない課題を、地域全体で支える
高島市では、人口減少や高齢化によって、これまで自治会単位で行ってきた活動が難しくなりつつあることを背景に、2020年に「高島市地域コミュニティ推進指針」を策定しました。
その後、市内6つの地域で住民自治協議会が設立され、それぞれの地域の実情に応じた活動が進められています。
この仕組みは、自治会をなくしたり、自治会の上に新しい組織をつくったりするものではありません。
一つの自治会では対応が難しくなった課題を、地域全体で支え合うための仕組みです。
こうした取り組みは、地域住民が主体となって課題解決に取り組む「地域運営組織(RMO)」の考え方にも通じるものです。
今回紹介していただいた取り組みには、除雪オペレーターの育成、高齢者への弁当配達と見守り、買い物環境の調査、防災訓練、自治会長向けの活動マニュアルづくりなどがありました。
それぞれは決して派手な取り組みではありません。しかし、日々の暮らしを支えるうえで、とても大切な活動だと感じました。
自治会だけでは難しいことを、地域全体で支える
人口減少・高齢化
担い手不足・自治会活動の負担増加
住民自治協議会
自治会・地域団体・若者・企業などが連携し、行政も必要な支援を行う
地域の課題に合わせた取り組み
除雪支援
高齢者の見守り
地域防災
若者の挑戦
※高島市の視察で紹介された活動をもとに構成した概念図です。実際の活動内容は地域ごとに異なります。自治会の役割を一律に協議会へ移すものではありません。
本当に大切なのは、必要な情報が届くこと
意見交換の中で、私が特にお伺いしたのは、行政と地域住民との情報の流れについてです。
行政がさまざまな制度や支援策を用意していても、その情報が必要な人に届かなければ、利用することができません。
また、自治会長や区長が高齢化し、役員が短い期間で交代するようになると、これまで当たり前に行われてきた情報伝達も難しくなっていきます。
デジタル化は有効な手段の一つですが、それだけですべての課題が解決するわけではありません。
デジタルを使える人も、使えない人も、必要な情報や行政サービスにたどり着けることが重要です。
私自身も、民間の活動を通じて、行政と市民の間にある情報の隙間を埋める方法を考えてきました。
だからこそ、住民自治協議会が地域と行政をどうつなぎ、情報をどう届けていくのかという点に、大きな関心を持ちました。
以前、「広報あわら」の折り込み作業についても記事にしましたが、情報を発信することと、実際に届けることは違います。
行政の仕組みも同じで、必要な人に必要な情報が届き、実際の利用につながっているか。そこまで考えることが大切なのだと思います。
引き継ぐのは仕事ではなく、地域を良くしたいという想い
もう一つ、今回の視察で強く印象に残ったのが、地域活動の継承についてです。
地域には、長年にわたり熱心に活動を続けてこられた方がたくさんいらっしゃいます。
その努力によって、地域の行事や人と人とのつながりが守られてきました。
一方で、その方が担ってきた仕事を、次の人がすべて引き受けられるとは限りません。
活動が増え続け、負担が大きくなればなるほど、新しい担い手は現れにくくなってしまいます。
今回の意見交換では、これまでの仕事をすべて引き継ぐのではなく、地域を良くしたいという想いを引き継ぐことが大切だというお話がありました。
私も、その考え方に共感しました。
時代が変われば、必要な活動も、活動の進め方も変わります。
これまで積み重ねてきた努力を大切にしながらも、何を続け、何を見直すのかを考える。そして、次の世代が自分たちのやり方で地域に関われるようにする。
組織を長く続けるためには、そうした視点も欠かせないと思います。
若者の「やってみたい」を地域で実現する
今回、もう一つ興味深かったのが、新旭地域で紹介された中高生を対象とする「ユース部」の活動です。
中高生が地域のイベントに参加したり、自分たちで企画を考えたりしながら、地域の大人たちと一緒に活動しています。
大切なのは、大人が用意した活動に参加してもらうだけではなく、若者自身の「やってみたい」という気持ちを出発点にしていることです。
学校だけでは実現が難しいことでも、地域の人とのつながりや大人の支援によって実現できる場合があります。
自分のアイデアが形になる経験は、若者にとって大きな学びになるはずです。
私も日頃から、地域活動やイベントを通じて若い世代と関わる機会がありますが、意欲や可能性を持った若者はたくさんいます。
大切なのは、その力を発揮できる場所をつくることではないでしょうか。
進学や就職で一度地域を離れたとしても、地域で経験したことや人とのつながりが、将来また関わるきっかけになるかもしれません。
若者を単なる担い手として考えるのではなく、若者自身が挑戦できる地域であること。その視点も大切にしたいと思いました。
あわら市でも、中学生議会をきっかけとした若者との交流などを通じて、子どもたちの挑戦を地域で応援することの大切さを感じています。
人口が減っても、暮らし続けられるまちへ
人口減少は、高島市だけでなく、あわら市も直面している課題です。
人口を増やすための努力はもちろん必要ですが、同時に、人口が減少していく中でも暮らしを支え続けられる仕組みを考えなければなりません。
小さな集落だから十分なサービスが受けられない、担い手がいないから地域活動が続けられない。
そうした状況を少しでも減らすために、行政が担うべき役割と、地域で協力できることを整理していく必要があります。
ただし、地域の支え合いを理由に、行政の責任を住民へ押し付けることがあってはなりません。
今回の視察では、住民自治協議会の可能性だけでなく、担い手の確保や財源、組織運営の継続といった課題についても率直なお話を伺うことができました。
仕組みをつくることが目的ではなく、その仕組みによって住民の暮らしがどう良くなるのか。
そして、その活動が無理なく次の世代へつながっていくのか。
高島市で学んだことを参考にしながら、あわら市でも、地域の実情に合った持続可能な仕組みについて考えていきたいと思います。
そんな地域を、これからも目指していきたいと思います。

今回の視察で丁寧にご説明いただいた高島市の皆さま、住民自治協議会の関係者の皆さまに、心より感謝申し上げます。
